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1◆ 二度目の悪夢とも呼べる時間が過ぎた途端、それはやってきた。 着信されたメールを開くと、そこにはプレイヤーの名前と新たに追加されたイベントのことが、何の感情もない文字で書かれているのが見える。 自分達のスタート地点であるアメリカエリアや、セイバーが向かいたがっていたアリーナのイベントは、正直な話あまり関心がない。 犠牲になったプレイヤーの名前が淡々と書かれていることに比べれば、些細なことに思えた。 「カ#ト……」 沈鬱としたような声で、カイトは自らの名前を呟く。 今回のメールには、あのエンデュランスやミアの名前が書かれていた。ユイを襲ったありすと共に行動していた猫の獣人と、そんなミアを探し求めていたカイトの知り合いであるプレイヤー。彼らは、既に脱落してしまっていた。 他にも、月の聖杯戦争で戦ったランルーくんやダン・ブラックモア卿も、既にこの世にいないことになる。かつて戦いを繰り広げた彼らの死をまた突き付けられてしまい、どうしようもない不快感が胸の中に広がった。 これまで、戦いを通じたことで人の死を何度も見ていき、その度に心が痛んだ。 例え勝者として君臨できても、その美酒に酔う精神は持っていないし、人の死を喜べるほど冷徹でもないつもりだ。そんな性根だったら、サーヴァント達からも信頼されないはず。 しかし、だからといって自己憐憫などしない。そんなことをしたって彼らの死がなかったことになる訳ではないし、何よりも最初から勝者にならなければいい。 彼らの為にできることは、忘れないことだけ。例え大罪人となろうとも、極悪人と罵られようとも、その上で道を突き進まなければならない。 死んでしまった者達のことを、なかったことにしれはいけない。彼らや、彼らと親しい者達の憎しみを受け止め、最後まで戦う。例え、その果てに待ち構えているのが──死よりも苦しい裁きだったとしても。 今はここにいないアーチャーだって、生前は重い覚悟を背負って『正義』の為に戦ってきたはずだから。 不幸中の幸いとも呼べることは、慎二やキリトの名前が書かれなかったことかもしれない。 素直に喜べないが、それでも彼らが生きていることが証明された。慎二が生きているということは、彼と共にいるアーチャーだってまだ無事でいる。 それに何よりも────サチを救う希望が、まだ残っていた。 だけど、それは今すぐに彼女を救えることに繋がらない。 仮に、再びサチとコンタクトを取ったとしても、それを聞いてもらえるとは思えない。そもそも、今の彼女が自分の言葉を信じてくれる保証だってなかった。 それどころか、逆に彼女の感情を逆撫でしてしまう恐れだってある。そうなっては、ヘレンから自分達の事を『サチに害を及ぼす者』と認識されてしまうかもしれない。 それでは全てが台無しだ。 キリトが生きている。 それを伝えて、サチがそれを聞いたとしても────サチが立ち直ってくれる訳でもない。 例えキリトが生きていたとしても、サチがキリトを傷付けた事実は変わらなかった。自分自身の過ちが原因で、サチは心を閉ざしてしまっている。 そんな彼女にキリトと向き合わせては、心に余計な傷を負わせてしまうだけで、むしろ逆効果だ。 慎二やキリトのことは心配だが、今は彼らに構っている場合ではない。 今はサチとユイを守り、そしてこのバトルロワイアルを止める手段を考えるしかなかった。 慎二にはアーチャーがいる。不安がない訳ではないが、それでもアーチャーならどうにかしてくれるだろう。 キリトも、今は無事でいることを信じるしかない。メールで名前は書かれていなかったので生きているはずだが、だからといって彼に問題がない訳ではなかった。 キリトとサチは強い信頼で結ばれている。しかしそれだけに、どちらかから裏切られてしまっては、強い絶望が生まれるはずだ。 もしかしたら、サチが自分の事を裏切ったとキリトは誤解してしまっているかもしれない。その不信を抱えたままでは、絶対に平静ではいられないだろう。 サチと再び巡り会わせる……彼の心中を考えると、その選択を取ることができなかった。 ユイやサチを救う為にはキリトがいなければならない。キリト自身を救えるのだって、彼女達だけだろう。 だけど……会わせられない。それがどうしようもなくもどかしいが、受け入れるしかなかった。 「……………………」 それに今は、黙り込んでしまったカイトのことだって気になる。 メールではカイトの名前だけでなく、エンデュランスだって書かれている。いくら敵だったとはいえ、やはり快くは思えないのだろう。 ──カイト。 自分には、カイトの名前を呼ぶことしかできなかった。 『大丈夫?』だなんて聞けない。関わりのある人物の死を突き付けられた者に対して、あまりにも不謹慎すぎる。 励ましの言葉が思い浮かばなかった。中途半端に言葉を投げかけても、逆に相手を傷付けてしまうだけ。 彼の為に何ができるのかが、思い浮かばない。そんな自分が情けなくなってしまう。 「カイトさん……」 ユイが辛そうな表情を浮かべながら、カイトに声をかける。 セイバーとキャスターからはいつもの元気が感じられず、口を閉ざしている。彼女達は、どこか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。 ヘレン/サチの表情にも変化が見られない。黒点は漂っているものの、それが彼女の感情表現なのかどうか判断できなかった。 「アト%、@乃……」 続くように、カイトは言葉にならない声で呟く。 「アアアアアアアァァ……」 そして、ユイにしかわからない言葉を漏らした。 何を言っているのか。尋ねようとしたが、その前にユイが口にする方が早かった。 「……志乃さんとアトリさんという人は、ハセヲさんにとって大切な人達だった、みたいです」 ──大切な人? 「アアアアァァ……」 「彼は二人の為に戦っていた……とも言ってます」 悲痛な表情のまま、ユイはカイトの言葉を通訳する。 やはり、彼女はまだ迷っているのだろう。気丈に振る舞っているが【リーファ】と【クライン】の死を、完全に受け止められていない。 今回は彼女の知り合いの名前は書かれていないようだったが、それを喜べる心など彼女は持ち合わせていない。 何よりも、違うデスゲームの主催者だったヒースクリフだって生きている。それだって、彼女は許していないはずだった。 【ハセヲ】という人物にとって、大切な人である【志乃】と【アトリ】。そんな二人がデスゲームの犠牲となった。 榊から『死の恐怖』と呼ばれていた【ハセヲ】がどんな人物なのか、自分は知らない。【志乃】や【アトリ】とはどんな関係だったのかも、推測することすらできない。 だけど、一度に大切な人が二人も失ってしまったら……例えようもない悲しみを背負うだろう。 カイトは【ハセヲ】のことを心配しているのかもしれない。それなら、自分も何かをしてやりたいが、できることが思い浮かばなかった。 辺りに重苦しい空気が漂う。 セイバーとキャスターもそれを察してくれているのか、口を開くことはしなかった。 ここにいるカイトと、メールに書かれていたもう一人のカイトの関係は気になる。だけど、今はそれを聞ける雰囲気ではなかった。 この状況を払拭する為に、言葉を出そうとしたが…… 「!? ハクノさん、近くにプレイヤー反応があります! こっちに近づいているようです!」 ……ユイの叫びによって、意識が急激に覚醒する。 他のみんなも、その言葉に反応して顔を上げた。カイトも、先程までの態度が嘘のように武器を構える。 周りのことに目を向けるのを忘れてしまっていた。もしもユイがいなかったら、このまま襲撃を受ける危険だってあったかもしれない。 ユイに、プレイヤーの人数を尋ねる。 「一人だけですけど……物凄いスピードです! こっちに来るまで、あと一分もかかりません!」 「何、それは本当か!? どうやら、余の出番のようだな!」 「何を言っているのですか! 貴女みたいな隙だらけな人に任せていられません! ご主人様、ここはこのタマモにお任せ下さいませ!」 ユイの言葉に緊張が走ったが、セイバーとキャスターはそれをぶち壊すかのように叫んだ。だが、今はどちらかに任せられるかなんて考えている場合ではない。 一体どこから誰が現れるのか……そんな疑問が芽生えるのと同時に、遠くより人影が見える。それが、ユイの言っていたプレイヤーなのだろう。 そのスピードは確かに凄まじく、まるでジェット機を彷彿とさせた。あの勢いで特攻などされては、咄嗟の反応すらできないかもしれない。 どうするべきか? そう考えたが…… 「あの人は……まさか、シノンさん!?」 しかし、警戒を打ち破るかのようにユイは叫ぶ。 聞き覚えのない名前が耳に響くと同時に、謎のプレイヤーは自分達の目前で動きを止めた。そこに現れたのは、見覚えのない少女。 まるでファンタジーの世界から飛び出して来たような格好だった。水色のショートカットと猫のような耳と尻尾、そして背中から生えた翅によって、嫌でも連想してしまう。 「まさかと思ったけど……やっぱり、ユイちゃんだったのね!」 「はい、そうです! シノンさん……会えてよかった!」 そしてユイから【シノン】と呼ばれたプレイヤーも、笑顔を浮かべていた。 そんな彼女の胸に、ユイは勢いよく飛び込む。そして、その瞳から微かながらの涙を流した。 「よかった……本当に、よかった! 私、不安だったんです……だって、クラインさんやリーファさんがいなくなって……! だから、もしかしたら……他にも誰かが……!」 「そう……私こそ、あなたに会えてよかったわ。本当なら、みんなにはこんな所にいて欲しくなかったけど……それでも、良かった。 本当に、大変だったわね……ユイちゃん」 ユイの小さな頭を、シノンは優しく撫でる。この様子から考えるに、どうやらこの二人は友人同士かもしれない。それなら、警戒する必要はなさそうだ。 ホッと胸を撫で下ろす。それに合わせるかのように、他のみんなも構えを解いてくれた。 「はい……でも、ハクノさん達が私を助けてくれたんです!」 「ハクノ……この人達の事?」 「そうです!」 ユイが笑顔で頷いた後、シノンはこちらに振り向く。 その瞳は水晶のように輝いていて、凛とした雰囲気が感じられる。一見するとただの少女だが、まるでセイバーやキャスターにも匹敵するような迫力すら宿っていそうだった。 だけど、今は微笑んでくれている。どうやら、彼女も自分達の事を味方と思ってくれているようだ。 「ハクノさん……だっけ? ユイちゃんのことを守ってくれてありがとう。私の名前はシノン、よろしくね」 ――よろしく。 シノンの態度に答えるように、こちらも笑顔を向ける。 「なるほど……そちはユイの友なのか! ならば、余にとっても友であるな! 何、緊張することなどない! 余は――!」 「シノンさん! こんな脳みそ筋肉の人なんて、無視してもいいですからね! あ、私はキャスター……ご主人様にとって、絶対にして唯一無二の良妻賢狐です!」 「何!? 貴様、一度までならず二度までも……海より広い世の心を冒涜するつもりか!?」 「はぁ? あなたの心なんて、どーせすぐに堪忍袋の緒が切れる位に狭いものでしょう? そんな人にご主人様を任せるなんて、絶対にありえません!」 そして、セイバーとキャスターはまた睨み合った。 シノンはそれを呆気にとられたように見つめている。……尤も、それが当然の反応だろう。 「……えっと、あなた達は随分と仲がいいみたいね」 「どこがだっ!?」 「どこがですっ!?」 「そ、そう……でも、あなた達にもお礼を言わないとね。ありがとう」 セイバーとキャスターは全く同じタイミングで怒鳴る。 キーン、と響きそうなくらいにまで凄まじい声量を前に、シノンは困り果てたように笑うしかできない。 ……これでは、流石にシノンが気の毒だ。 そう思ったので、何かフォローの言葉を投げかけようとしたが、その前にシノンがカイトに振り向く。 カイトを見る彼女の表情は、どういう訳か驚愕に染まっていた。 「……あなた、やっぱりあの時の……!」 「…………?」 「生きていたの!?」 首を傾げるカイトを前に、シノンはそう叫んだ。 2◆◆ マク・アヌでエージェント・スミスとの戦いに勝利してから、シノンはただひたすら飛び続けていた。 理由は一つ。先程の戦いの後、一人で突っ走っていったハセヲを止める為だ。 ハセヲの頼みを無下にするのは心苦しい。だけど、今の彼を放置しておくことはできなかった。 このままハセヲを放置したら、いずれ破滅してしまう。あのエージェント・スミスのような化け物がいることを踏まえると、奴と同等あるいは遥かに上回る危険なプレイヤーがいてもおかしくない。 そんな連中を前に、ハセヲが一人で戦い続けられる保証は――正直な話、かなり低い。 また、仮に生き残れたとしても、その先に待っているのは破滅だけ。現実世界に帰還したとしても、リアルのハセヲは失意と絶望に沈んだまま生き続けることになるかもしれない。 最悪のケースとして、自殺する恐れだってあった。 アトリはそんなことを絶対に望まない。 彼女の事はあまり知らないけど、少なくともハセヲを大切に想っていたのは確かだった。アトリは、ハセヲが復讐の道に歩むなんて願わないだろう。 彼女にはこの命を救って貰った恩義がある。遺された自分が彼女の為にできる事と言ったら、ハセヲを止める以外に思い付かなかった。 義理立てだけではない。個人的に、ハセヲには人を殺した十字架を背負って欲しくない気持ちだってある。自分が味わってしまった、血生臭い感触と強盗から向けられた憎悪……そんなの、ハセヲが知る必要なんてない。 その為にも猛スピードで飛んだが、バイクのスペックが予想以上に凄まじかったせいですぐに見えなくなった。 ALOアバターの飛行速度も決して低くないが、やはり限界がある。最初からハセヲの手に渡らないようにするべきだったが、後悔しても遅い。 一刻も早く追いつく為にも飛び続けるが、その最中にメールが届く。反射的に止まった瞬間、自動的にウインドウが開かれ……死者の名前を突き付けられた。 「アトリ……!」 そこには、やはりアトリの名前が書かれている。それに、スミスの一人にされてしまった【ランルーくん】というプレイヤーの名前も例外ではない。 志乃。漢字は違うが、リアルでの名前と同じだ。その人までもが、もうこの世にいない……そんな事実に、シノンは更に胸を痛めてしまう。 スミス達の名前が書かれていなかったのは、撃破した際に元のプレイヤーに戻ったことが原因かもしれないが、関係ない。例え正解を導き出したとしても、この六時間内で起こってしまった【死】がなかったことになる訳ではなかった。 イベントの情報も有難いとは思えない。こんな状況で開かれるイベントなんて碌でもないだろうし、レアアイテムとやらも自分にとって価値がある保証もなかった。 「……アトリ、ごめんなさい。でも、私は絶対にハセヲを止めてみせるから」 それでも、情報だけは頭に叩き込んでおく。もしかしたら、どこかで必要になるかもしれない。 シノンは気持ちを切り替えるようにウインドウを閉じて、再び飛翔した。今は一瞬の時間だって惜しい。 ハセヲはどこまで行ってしまったのか……そんな事を考えながら辺りを見渡していると、少し遠い場所に一組のチームを見つける。人数は四人。 こんな状況で集団行動を取るプレイヤー達がいる。一瞬の困惑を覚えながらも凝視していると、妖精のような少女の姿が見えた。 「あれってまさか……ユイちゃん!?」 その少女をシノンは知っている。キリトとアスナの娘で、エクスキャリバーのミッションを共にクリアした仲間の一人でもあるAI・ユイだった。 何故、彼女がこんな所にいるのか。まさか、彼女までもがこのデスゲームに巻き込まれてしまったのか。そんな驚愕が湧きあがったが、次の瞬間には知り合いを見つけたと言う安堵も生まれる。 そして、もう一人。あの黄昏色の少年にとても似ているプレイヤーもいる。先の戦いで負けてしまったはずの彼が、どうしてこんな所にいるのか……? 不可解な点だってある。 他のプレイヤー達が何者なのかはわからない。しかし、あのユイと一緒にいるのだから、少なくとも危険人物ではないかもしれない。 それにもしかしたら、彼らはハセヲと会った可能性だってある。そうでなくとも、接触の価値は充分にあった。 行動方針を決めたシノンは、猛スピードで彼らの元に向かった…… † 「なるほど。つまり、あなたはカイト……彼を元に作られたプログラムなのね」 「ウ#」 シノンの言葉に、カイトは頷く。 岸波白野をリーダーとしたチームに出会ったシノンは、互いに情報交換を行っていた。 まず、目の前に立つカイトと呼ばれるプレイヤーは、プレイヤーではない。だからといってNPCではなく、黄昏色の少年・カイトを元に生み出されたAIプログラムらしい。姿が瓜二つなのは、そういうことだ。 しかし、彼は人間の言葉を話すことができず、ユイがいなければ他人とコミュニケーションを取ることができない。もしもユイがいなければ、彼はきっと誤解されてしまう……そう考えた瞬間、ユイの存在があまりにも大きく見えてしまった。 「それであなたがサチ……いいえ、ヘレンなのね」 「――――」 そして、カイトと同じようにユイの通訳が必要な少女もいる。そのアバターの周りには、奇妙な黒点が浮かび上がっていた。 彼女はサチというプレイヤーに憑依したウイルスで、名前はヘレンというらしい。 「……ねえ、ユイ。もしかしてヘレンって……AIDAなの?」 「はい。その通りですけど……シノンさんも知っているのですか?」 「ええ、ちょっとね」 シノンはアトリから、榊や【The World R 2】に関する情報を聞いた際に、AIDAの事も知った。あまり詳しい部分までは聞けなかったものの、本来はシステム上に存在しないバグシステムであることがわかった。 感染されたプレイヤーはコントロール権を失い、その果てに命を奪われてしまう……それほどの危険な存在が、目の前にいる。しかし、白野達に危害を加える様子はなかった。 「ヘレン。あなたが何を考えているのかを私は知らないし、あなたがユイちゃん達に協力するのなら、私もあなたを信用する。 でも、もしもあなたがここにいるみんなを裏切るのなら、私はあなたを許さない。あなたを敵として認識するわ……それだけは、忘れないで」 「――――――――」 「えっと、この身体に危害を加えないのなら、私もあなたと戦わない……らしいです」 「わかったわ……ありがとう、ヘレン」 ユイの通訳から考えて、ヘレンの意志には嘘はない。アトリの話を聞いてはあまりいい印象は持てないが、それでも味方になってくれる気持ちは裏切られなかった。 それでもヘレンに対する疑問はある。ヘレンが主導している現在、サチという少女はどうしているのか。また、どうしてサチのアバターに憑依してしまったのか……それでも、今は聞かない方がいいかもしれない。 何か複雑な事情があるだろうし、会って間もない自分が深く詮索していい事とは思えなかった。何故ならシノン自身、もしも拳銃にトラウマを抱えていた理由を問われたら、確実に気分を害してしまう。だからあえて触れなかった。 それから、シノンはカイトに視線を向ける。その外見からは奇妙な圧迫感が放たれているが、それに委縮することなく口を開いた。 「それとカイト。私はあなたのマスターに助けられたわ……それなのに、助けてあげられなくて本当にごめんなさい」 もう一人のカイトがいたからこそ、あのエージェント・スミスを撃破するきっかけが掴めた。そこから、四人のスミス達からハセヲを救う隙を見つけられている。 今だってユイと再会できたのも、元を辿ればカイトがいてくれたからだ。 「謝って済むことじゃないのはわかってる。カイトはみんなの為に戦っていたはずなのに、私は彼に何もしてあげられなかった…… カイトの分まで、戦い抜いて見せる。あなた達の力にもなって、それにハセヲだって止める。私にできることはこれしかないけど、力を尽くしてみせるから」 スミス達と戦っていた【カイト】がどんな人物なのか、シノンは知らない。だけど、ここにいるカイトの元となっているのだから、悪人ではないはずだった。 白野やユイはこのバトルロワイアルを止める為に動いている。そんな二人に協力してくれているのだから、カイトだって信頼に値する。 そう思った瞬間、カイトが手を差し出してきた。 「えっ?」 「ヨ%*ク……」 「よろしく、と言っています」 「……こちらこそ、よろしく」 ほんの一瞬だけ戸惑ったが、ユイの通訳を聞いたことでシノンもカイトの手を握り締める。 その感触は、やはり固い。AIだろうと、確かな温かみが伝わってきた。和平を志している訳ではないが、やはり拳銃よりも誰かの手を握り締める方が気分がいい。 「それと、あなた達はハセヲを見ていないのよね」 「ごめんなさい。私達も、山を下りてからはシノンさん以外のプレイヤーは見ていませんし、何よりも反応だって感じませんでした」 「そう……ありがとう」 やはり、ユイ達もハセヲを見かけていない。ハセヲの向かったルートを目指して飛んだ途中に彼らがいたので期待したが、それ以上にあのバイクが早すぎた。 それでも落胆などしない。ユイ達に責任などないし、そもそも自分がきちんとハセヲを止めればよかっただけだ。 「あ、そういえばユイちゃん。見て欲しいアイテムがあるけど大丈夫?」 「見て欲しいアイテム?」 「ええ……さっき、マク・アヌで拾ったの。ちょっと待ってね」 システムウインドウを操作して、シノンは【薄明の書】を取り出す。 そして、ユイに向けるようにウインドウを表示させた。 「それは?」 「多分、何かの機能をインストールできるアイテムだと思う。だけど、説明が書かれている所が文字化けしちゃって、肝心の効果がわからないの。でも、あなたなら解析できるかなって……」 「……わかりました、やってみます」 ユイは小さな手で、ゆっくりと【薄明の書】に触れる。 「DD(データドレイン)が、インストールできる……ようです」 「データドレイン?」 聞き覚えのない単語にシノンは首を傾げてしまう。 「はい。データドレインとは、カイトさんの腕輪にも搭載されている機能の一種で、いくつかの効果があるみたいです。 相手のデータを奪って自分のものにしてしまう効果、それとウイルスを除去する効果、更にはデータの改竄……モンスターのレベルを変更できることだってできます。 この【薄明の書】は、そんなデータドレインをインストールできるみたいです」 「そんな効果があるの? なら、早速……」 「いいえ。それはあまり期待できないかもしれません。 【薄明の書】には何らかの外的要因によってデータが機能拡張(エクステンド)されているようですが、それはとても不安定な状態です。 無暗に使用しても発動しないかもしれませんし、暴走を起こしてアバターに悪影響が出る可能性だってあります。だから、あまり使用はお勧めできません」 「……そう、なの」 ユイの表情は真剣そのものだ。 データドレインという謎のシステムが希望になると思ったが、甘かった。それどころか、何も知らないまま使用していたら逆に自滅してしまう危険すらある。 インストールをするにしても、本当の土壇場でなければいけない。あのスミスや、スミスに匹敵する強敵と戦うことになって、手札が無くなった後の最終手段だ。 切札にもなれば鬼札にもなり得る【薄明の書】。こんなアイテムはGGOやALOでは見たことがない。恐らく、二人のカイトやハセヲがいる別のゲームに登場するアイテムだろう。 それが今、自分の手に渡っていることに、シノンの中に複雑な感情が芽生えた。 「あの~シノンさん。ちょっと宜しいでしょうか?」 そんな中、白野の妻を自称する狐のような少女・キャスターが問いかけてくる。 「どうしたの?」 「ええ、シノンさんやハセヲさんはマク・アヌでエージェント・スミスって人達と戦ったって言ったじゃないですか。黒いスーツとサングラスが特徴な人達は……確か、数を増やせるなんてチート級の能力を持っているのですよね?」 「そうよ。それだけじゃなくて、単体の戦闘力もかなり高いわ。まともに正面から戦っても、勝ち目はないでしょうね……だからこそ、あなた達に会えてよかったわ もしかしたら、あなた達だって狙われてしまうかもしれないし」 スミスの恐ろしさは、この身を持って実感した。 単体の戦闘能力は恐ろしい程に高く、一撃を受けただけでもHPが大幅に削られる。一人だけでも厄介な相手が複数もいては、大半のプレイヤーが太刀打ちできない。ここにいるチームだって例外ではないだろう。 特に、何の戦闘力もないユイは格好の餌食だ。狡猾なスミス達だったら、真っ先に彼女をターゲットにするだろう。 「もしも奴らに出会ったとしても、まずはユイちゃんだけは絶対に逃げて。ユイちゃんがあいつらに変えられるなんて……絶対に嫌だから」 「わ、わかりました……」 シノンの言葉にユイは頷く。 「それでシノンよ。これよりそなたはどうするのだ? 奏者と共に来るのか?」 「セイバー。私だってそうしたいのは山々だけど、今はそうも言ってはいられないわ。止めなきゃいけない人がいるから」 「……ハセヲとやらのことか?」 「ええ。彼はスミス達みたいなレッドプレイヤーを相手に一人で戦うみたいだけど、この状況でそれは危険だわ……レッドプレイヤー以外にも、何かタチの悪い罠が仕掛けられているかもしれないし。 こんなデスゲームを強制させる奴らだったら、それくらい用意してもおかしくないわ」 例えるならば、踏み入れてしまっただけでパラメータに状態異常が付加されるようなエリアが、どこかに用意されているかもしれない。踏み入れてしまった瞬間、強制的に毒や麻痺にされてしまい、プレイヤーをわざと不利にさせる為に。 それだけならまだ対処の余地はあるが、最悪なのはHPが0にされてしまうことだ。侵入しただけで、アバターに内蔵されたウイルスが強制的に発動され、リタイアを余儀なくされる……そこにキルスコアなど関係ない。 もしかしたら、今もどこかで設置されている危険だってある。考えすぎと言われるかもしれないが、生き残る為にもあらゆる危険は想定しなければならなかった。 「だから、あなた達には月海原学園を目指して、レオやトモコちゃんって人達にスミスのことを伝えて欲しいの。あたしは、ハセヲを見つけて絶対に連れ戻すから」 伝言を頼める相手に出会えたのは幸いだった。本当なら、彼らに同行したいが今はそれどころではない。 チームの分断だってできなかった。まず、チームのリーダーを引き受けている白野は絶対に不可能。セイバーとキャスターはそんな白野から絶対に離れないだろうから、同行を期待できない。カイトやサチ/ヘレンは連れて行ったとしても、ユイがいなければコミュニケーションを取ることもできない。ユイだって、このチームの要として必要不可欠だった。 このチームは理想的に見えて、実はかなり危ういバランスの元で成り立っている。誰か一人でも欠けてしまっては、その時点で崩壊してしまう……運命共同体と呼ぶに相応しい。 自分の為に白野達を犠牲にするなんて、シノンにはできなかった。 「シノンさん……」 「ユイちゃん、大丈夫よ。私を誰だと思っているの? あなたにまた会えるまで、私は絶対に負けたりなんかしないから……安心して。 私も頑張るから、ユイちゃんもここにいるみんなの為に頑張ってあげてね」 「……はい!」 不安げに見つめてくるユイの頭を、シノンは優しく撫でる。 この感触を味わうことで、負けられない気持ちが胸の中から湧き上がっていく。彼女をまたキリトやアスナ達と巡り会わせる為にも、この命は絶対に捨てられない。ハセヲとここカイトだって、同じだ。 ハセヲとカイトの関係は知らないけど、きっと彼らも共に力を合わせていたはず。もしも会うことができれば、信頼できる仲間同士として力を合わせてくれるだろう。 「それじゃあ、私は行くけど……みんな、どうか気を付けてね」 「うむ。余もそなたとまた相見えることを信じておるぞ! そなたには、余と奏者の生活を見届ける義務があるのだからな!」 「私も、シノンさんにまた会いたいですよ~ だって、シノンさんには私とご主人様の結婚式に参加して貰いたいですし!」 「何!?」 「なんですと!?」 セイバーとキャスターの間にまた剣呑な空気が流れるが、シノンはそれを無視する。彼女達のコントみたいなやり取りを見ていたら、時間とHPが無限にあっても全然足りそうにない。 カイトとサチ/ヘレンは頷く。二人とも、見届けてくれると言う意思表示なのだろう。 最後に、このチームのリーダーを務めている白野と、シノンは視線を合わせた。 ――気を付けて。 「ええ」 淡々としているようで、それでいて強い決意が込められた言葉を互いにぶつけ合う。 そうして、シノンはチームから背を向けて、再び飛翔した。後ろから感じられる視線が、とても心強く思える。 時間はそんなに経っていないかもしれないが、今は一秒でも惜しい。ロスタイムを取り戻すように、シノンは猛スピードで飛び続ける。 この先にハセヲがいることを信じて。ハセヲの向かう道を追いかけるように、シノンは仮想世界の空を進んでいた。 【C-3/ファンタジーエリア・草原/1日目・日中】 【シノン@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:HP100%、MP80%、強い無力感/ALOアバター [装備]:{フレイム・コーラー、サフラン・ブーツ}@アクセル・ワールド、{FN・ファイブセブン(弾数10/20)、光剣・カゲミツG4}@ソードアート・オンライン、式のナイフ@Fate/EXTRA、雷鼠の紋飾り@.hack//、アンダーシャツ@ロックマンエグゼ3 [アイテム]:基本支給品一式、光式・忍冬@.hack//G.U.、ダガー(ALO)@ソードアート・オンライン、プリズム@ロックマンエグゼ3、5.7mm弾×20@現実、薄明の書@.hack//、???@??? [ポイント]:300ポイント/1kill [思考] 基本:この殺し合いを止める。 0:アトリ……私……。 1:ハセヲを追う。 そして、ハセヲを止めて皆の所に戻る。 2:殺し合いを止める為に、仲間と装備(弾薬と狙撃銃)を集める。 3:ハセヲの事が心配。 4:【薄明の書】の使用には気を付ける。仮に使用するとしても最終手段。 5:ユイちゃん達とはまた会いたい。 [備考] ※参戦時期は原作9巻、ダイニー・カフェでキリトとアスナの二人と会話をした直後です。 ※使用アバターに応じてスキル・アビリティ等の使用が制限されています。使用するためには該当アバターへ変更してください。 ALOアバター>ソードスキル(有属性)及び魔法スキル、妖精の翅による飛行能力が使用可能。 GGOアバター>《着弾予測円(バレット・サークル)》及び《弾道予測線(バレット・ライン)》が視認可能。 ※MPはALOアバターの時のみ表示されます(装備による上昇分を除く)。またMPの消費及び回復効果も、表示されている状態でのみ有効です。 ※このゲームにはペイン・アブソーバが効いていない事を、身を以て知りました。 ※エージェント・スミスを、規格外の化け物みたいな存在として認識しています。 ※【薄明の書】の効果を知り、データドレインのメリットとデメリットを把握しました。 3◆◆◆ ――飛び去ったシノンの背中が見えなくなるまで、そこまで長い時間はかからなかった。 彼女から聞いた話は、自分達を驚かせるのに充分な威力を持っている。 エージェント・スミスという参加者の、自分自身を増やすあまりにも悪質な性質。そんな相手を野放しにしていたら、いつか遭遇した時に成す術もなく蹂躙されていただろう。 それに、カイトのオリジナルである【もう一人のカイト】をPKした白い巨人の事も気を付けなければならない。詳細はわからないが、危険な存在であることは確かだ。 【もう一人のカイト】を呆気なく消滅させたらしいから、比類なき戦闘能力を誇っているはず。対決する時の為に戦力を整えるべきだ。 奴らが潜伏しているマク・アヌはここから遠くないので、一刻も早く月海原学園で対策を立てる必要がある。 「シノンさん……」 ユイは未だに暗い表情を浮かべている。 無理もなかった。せっかく、同じ世界に生きる仲間と再会できたのに、すぐに別れる羽目になってしまう。辛くない訳がない。 自分だったら……駄目だ。再会したのは慎二やダン・ブラックモア郷なのだから、彼女と同列に語れなかった。 情報交換の際、シノンはキリトのことを話していない。不謹慎なのはわかっているが、その事に胸を撫で下ろしている。 もしも、何かの拍子で彼女がキリトのことを話してしまっては、ヘレンは絶対に反応するはずだった。そこから、ヘレンがサチとキリトの一件を話してしまっては……絶対に火種が生まれてしまう。 キリトが実は生きていたなんて、関係ない。サチがキリトを襲ったと言う事実を知っては、シノンとユイは絶対に不信を抱いてしまう。その場では何も起こらなくても、蟠りは残るはずだった。 ヘレンの言葉がわからない自分には、咄嗟の誤魔化しすらできない…… ……ここまで考えて、自分自身への嫌悪感が生まれてしまう。 サチの命を守ると決めながら、実際には何もできない。ただ、ヘレンが話してくれないことを願うだけ。 あまりにも情けなかった。シノンや【ハセヲ】は命を賭けて戦い、ユイはシノンに的確なアドバイスをしてくれている。カイトやサーヴァント達、それにヘレンだって自分の力になると言ってくれた。ここにいないアーチャーや慎二だって、力を尽くしているはず。 だけど、それに比べて今の自分は何だ? 何もできていないではないか。 せめて、今は月海原学園に向かって、レオ達に会って力を合わせるしかなかった。 シノンの言っていたレオが、かつて月の聖杯戦争で戦ったレオナルド・B・ハーウェイなのかどうかはわからない。シノンはハセヲから名前を聞いただけで、実際に会っていないらしい。 だけど、可能性はあった。 ――行こうか、ユイ。 「……はい!」 声をかけると、ユイは力強く頷いてくれる。 彼女は強い。身体は小さくても、誰にも負けない心を持っていた。それは頼もしく感じるが、そんな気丈さを裏切っている自分自身が、余計に情けなく思えてしまう。 しかし、挫けたりなどしない。ここで自分を卑下するのは、彼女に対する最大の裏切りだ。 カイトとヘレンにも声をかける。二人は頷いてくれた。 セイバーとキャスターは口論を止めてくれたものの、互いに火花を散らしていることに変わりはない。これなら、心配はいらないだろう。 ――このバトルロワイアルが始まってから、既に12時間が経過している。 榊によって仕組まれたウイルスの発動時間まで、そこまで遠くない。だけど、絶望することなどできなかった。 道は険しく、ゴールは未だに見えない。しかし諦めなければ、きっと道は見つかるはずだ―――― 【C-3/ファンタジーエリア・草原/1日目・日中】 【岸波白野@Fate/EXTRA】 [ステータス]:HP100%、MP95%、データ欠損(微小)、令呪二画、『腕輪の力』に対する本能的な恐怖/男性アバター [装備]:五四式・黒星(8/8発)@ソードアート・オンライン、男子学生服@Fate/EXTRA [アイテム]:女子学生服@Fate/EXTRA、基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:バトルロワイアルを止める。 0:―――大丈夫だ、問題ない。 1:月海原学園に向かい、道中で遭遇した参加者から情報を得る。 2:ウイルスの発動を遅延させる“何か”を解明する。 3:榊の元へ辿り着く経路を捜索する。 4:エルディ・ルーの地下にあるプロテクトエリアを調査したい。ただし、実行は万全の準備をしてから。 5:せめて、サチの命だけは守りたい。 6:サチの暴走、ありす達、エージェント・スミス達や白い巨人(スケイス)に気を付ける。 7:ヒースクリフを警戒。 8:カイトは信用するが、〈データドレイン〉は最大限警戒する。 9:もしも、レオがどこかにいるのなら協力をして貰えるように頼んでみる。 [サーヴァント]:セイバー(ネロ・クラディウス)、キャスター(玉藻の前) [ステータス(Sa)]:HP100%、MP100%、健康 [ステータス(Ca)]:HP100%、MP100%、健康 [備考] ※参戦時期はゲームエンディング直後。 ※岸波白野の性別は、装備している学生服によって決定されます。 学生服はどちらか一方しか装備できず、また両方外すこともできません(装備制限は免除)。 ※岸波白野の最大魔力時でのサーヴァントの戦闘可能時間は、一人だと10分、三人だと3分程度です。 ※アーチャーとの契約が一時解除されたことで、岸波白野の構成データが一部欠損しました。 【ユイ@ソードアート・オンライン】 [ステータス]:HP100%、MP55/70、『痛み』に対する恐怖、『死』の処理に対する葛藤/ピクシー [装備]:空気撃ち/三の太刀@Fate/EXTRA [アイテム]:セグメント3@.hack//、基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本: パパとママ(キリトとアスナ)の元へ帰る。 0:ハクノさん………。 1:ハクノさんに協力する。 2:『痛み』は怖いけど、逃げたくない。 3:また“握手”をしてみたい。 4:『死』の処理は…… 5:ヒースクリフを警戒。 6:シノンさんとはまた会いたい。 [備考] ※参戦時期は原作十巻以降。 ※《ナビゲーション・ピクシー》のアバターになる場合、半径五メートル以内に他の参加者がいる必要があります。 【蒼炎のカイト@.hack//G.U.】 [ステータス]:HP50%、SP80% [装備]:{虚空ノ双牙、虚空ノ修羅鎧、虚空ノ凶眼}@.hack//G.U. [アイテム]:基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:女神AURAの騎士として、セグメントを護り、女神AURAの元へ帰還する。 1:岸波白野に協力し、その指示に従う。 2:ユイ(アウラのセグメント)を護る。 3:サチ(AIDA)が危険となった場合、データドレインする。 [備考] ※蒼炎のカイトは装備変更が出来ません。 【サチ@ソードアート・オンライン】 [ステータス]HP10%、AIDA感染、強い自己嫌悪、自閉 [装備]エウリュアレの宝剣Ω@ソードアート・オンライン [アイテム]基本支給品一式 [ポイント]:0ポイント/0kill [思考] 基本:死にたくない。 0:――――うそつき。 1:もう何も見たくない。考えたくない。 2:キリトを、殺しちゃった………。 3:私は、もう死んでいた………? [AIDA] Helen [思考] 基本:サチの感情に従って行動する。 1:ハクノ、キニナル。 [備考] ※第2巻にて、キリトを頼りにするようになり、メッセージ録音クリスタルを作成する前からの参戦です。 ※オーヴァンからThe Worldに関する情報を得ました。 ※AIDAの種子@.hack//G.U.はサチに感染しました。 ※AIDA Helen は、サチの感情に強く影響されています。 ※サチが自閉したことにより、PCボディをAIDA Helen が操作しています。 ※白野に興味があるので、白野と一緒にいる仲間達とも協力する方針でいます。 091 いざ駆けよ漆黒の荒馬嘶いて 投下順に読む 093 EXS.extream crossing sky“クレィドゥ・ザ・スカイ” 091 いざ駆けよ漆黒の荒馬嘶いて 時系列順に読む 093 EXS.extream crossing sky“クレィドゥ・ザ・スカイ” 077 秘密のプロテクトエリアをつぶせ! 岸波白野 099 対主催生徒会活動日誌・8ページ目(再会編) 077 秘密のプロテクトエリアをつぶせ! ユイ 099 対主催生徒会活動日誌・8ページ目(再会編) 077 秘密のプロテクトエリアをつぶせ! 蒼炎のカイト 099 対主催生徒会活動日誌・8ページ目(再会編) 077 秘密のプロテクトエリアをつぶせ! サチ 099 対主催生徒会活動日誌・8ページ目(再会編) 085 ファントム・ペイン シノン 109 対峙する自己
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猫をもう一匹だけ@wikiは本の感想ページです。 主にミステリ小説の感想をみんなで書いています。 「なんかおもしろいミステリないかな~」とか 「この本読み終わったけど、みんなはどう思ったのかな?」とかいう時にご利用ください(#^.^#) 気をつけてはいますが、みんなで書いているので、ネタバレしているところがあるかもしれません。 読む際にはお気をつけ下さい。m(_ _)m このサイトの情報の正確性について一切保証いたしません。サイトの利用により生じた損害ついて、一切責任を負いませんのでご了承下さい。
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借り換えシミュレーションとインテリア 私は今度一軒家に引っ越しをします。 今マイホームを建てているところで、あと2ヶ月ほどで完成予定です。 完成したら引っ越しもしないといけないので、なかなか忙しくなりそうです。 私は引っ越しをしたら、新しい家具を買い揃えたいなぁと思っています。 全部新しい物にするのは大変なので、どうしても欲しいものだけ買うことにしました。 私の好きなインテリアショップがあるのですが、そのお店のソファやダイニングテーブルなどがとても好きです。 買いたいなぁと思っています。 あとは、カーテンなどもそこで買い揃えようと思っています。楽しみです。 借り換えシミュレーション
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有夏月の意思に呼応するように、蜉蝣の薄羽が揺らめいた。 今更強く意識する必要すらない。 まるで自分の身体の一部のように、有夏月は自らの身体に巣くう”虫”を使役する。 目標を定め、熱を伴う光の束を発射する。有夏月の思考と虫の行動に、ラグはほとんど存在しない。 歩くとき、わざわざ交互に右足と左足を動かそうなどと考える必要がないように、有夏月の殺意と虫の攻撃は、完全に直結していた。 「ですが、その攻撃は先ほども拝見させて頂きました」 有夏月と対峙するメイド服姿の女性は、顔色一つ変えることなく淡々と告げ、有夏月の放った光撃を回避。 彼女の名は、在るべき婦人――Sf(ザインフラウ)。 ”在ること”を望まれ作られた、人ならざる者。 主人のために自らの全てを捧げる自動人形は、どこに居るとも知れぬ主人の元へ馳せ参じるために、無機の右手に銃を握る。 六門式回転機関銃――俗に言うガトリングガンが、有夏月の胸元を正確に狙っている。 しかし実弾が放たれることはなかった。代わりに出るのは、Sfの口から放たれる勧告だ。 「無駄な交戦は私の望むところではありません。 今ならば泣いて叫んで必死に喚いて五体に地に投げ出していただくだけで、銃を収める準備が整いますが」 「……その冗談は、面白くないよ」 有夏月は、既に多くの夢と希望を失ってしまった。 もはや残されたのは殺戮劇の果てに与えられる褒賞という、とても細く脆い、少しでも扱いを間違えれば切れてしまいそうな蜘蛛の糸一本だけ。 Sfの言葉に耳を貸す余裕さえ、今の有夏月には残っていない。 「……みんなを取り戻す。そのためなら、僕は自分の夢なんていらない……!」 戦わずにいられるのならと夢想していた緒方有夏月少年の夢は、夢のまま散った。 迎えたのはどうしようもない最悪の現実。 だが。それを『なかったこと』に出来る力が存在するのならば。 有夏月にはそれに縋る以外の選択肢が存在しない。 「聞く耳持たずと言うのならば、力ずくで処理するしかないようですね」 有夏月の戦意が喪失せず、むしろ増大するのを確認し、Sfもまた臨戦態勢に入った。 有夏月から放たれた二度の攻撃については、既に分析を終えている。 攻撃の種類は熱線、威力は平均的な機殻装備のやや上といったところだろうか。 熱線という攻撃の性質上、見てからの回避や防御は困難であると判断出来る。 だが、熱線の発生源――それは、Sfが視認する限りでは、昆虫に限りなく酷似していた――に注目しておけば攻撃の予測は容易だ。 「少々手荒になるかもしれませんが、無力化させていただきます」 Sfは、己の身を加速させた。 だが、向かうのは敵である有夏月の方へではない。 その逆。後方への加速――つまり、逃走だ。 Sfの行動に、有夏月は虚を突かれる。しかし、一瞬の思考の後、追いかけ始める。 発言と行動から判断するに、Sfは何の考えもなしに逃走を選んだというわけではなさそうだ。 追えば、有夏月の不利になる何かがあるのかもしれない――だが、それでも追う。 有夏月の目的は最終的な勝者になることだが、そのためにリスクばかりを避けていては前には進めない。 追う有夏月と、逃げながら後ろを振り向いたSfの視線が交わった。 次いで有夏月の視線と交わったのは、Sfが構えるガトリングガンの銃口だ。 Sfの指が銃爪にかけられた。そして、閃光。 耳障りな音と共に放たれた数十の弾丸。有夏月の追う足が、鈍った。 弾丸は、有夏月がそのままの速度で進んでいたならば通過していたであろう場所へ正確に着弾した。 だが、有夏月はその攻撃の意図を考え、そして再度の追跡を選んだ。 Sfの攻撃は正確だ。 もしも有夏月が追う足を緩めていなかったならば、その足を撃ち抜いていたことだろう。 しかし。 あくまでも、撃ち抜いていたのは足。 命を奪う頭部や胸部へ向けて放たれたわけではなく、足を止めるという回避ですらない行動で、Sfの銃撃は空を切ることになったわけだ。 過剰ともいえる行為だが、その意図はあくまでも警告。あるいは足止め。 そこに、命を奪おうという意図は含まれていないと、有夏月は判断した。 手強い相手になるだろうと、有夏月はそう思った。 正確無比な射撃精度。殺し合いであると知ってもなお動じた様子のない精神力。 そして、その力を殺人のためではなく、防衛のために使おうとする意思。 優勝を狙う有夏月にとっては、真っ先に排除しなければならない相手だ。 残しておけば必ず障害となる存在。見逃すわけにはいかなかった。 追う有夏月の目に入ってきたのは、巨大な建築物。 建物そのものに見覚えはないが、似たような施設なら何度も見たことがある。 Sfは、建築物の敷地内へと走っていく。 学校――そこが二人の、次なる戦場となった。 ◇ 校舎内に入ってもなお、Sfは足を止めなかった。 入り口に掲示されていた校舎内地図を一瞥し、目的地までのルートを、脳内で構築する。 「――と、その前に、もう少しだけ時間を稼がせていただきます」 言って、Sfはその身に宿る異能を発動した。 Sfが侵入に用いた生徒用玄関。そこに並んでいたのは、木製の下駄箱だ。 Sfが、軽く手を振った。するとその動きに連動するように、下駄箱は傾き、倒れていく。 これこそ彼女たち作られた存在である自動人形が持つ、重力制御の能力だ。 Sfがその細腕で軽々と重機関銃を抱えていたのも、重力制御の応用で得物の重量を制御していたからこそ。 重く鎮座していた下駄箱も、Sfの能力にかかれば少しの風で散ってしまう木の葉ほどの軽さとなってしまう。 入り口を塞ぐように倒れたあと本来の重さを取り戻した下駄箱は、多少なりとも時間稼ぎになってくれるだろう。 そう考えたSfだったが、次の瞬間にはその考えが甘かったということを思い知らされることになる。 光が、下駄箱を貫いた。 一本、二本、三本と光は数を増し――そして、衝撃を伴って障害を吹き飛ばす。 ――目標の能力に、上方修正が必要なようですね。 Sfは歩速を上げた。もたもたしている余裕などどこにもないのだ。 重力制御で己の身を軽くし、階段を三段飛ばしで駆け上がっていく。 たどりついたのは、図書室だった。 Sfは部屋の中央に陣取り、有夏月の襲来を待ち受ける。 息を切らしながら遅れて入ってきた有夏月の目は、Sfへの殺意に染まっていた。 「――ここまで来たということは、貴方は本気なのですね」 「そうだよ。僕は――本気で、全力で、僕の望みを叶えてみせる」 「ならば、私もまた本気で応えましょう。 貴方が主に害を為す可能性があるのならば、理由はそれで十分です」 先制は、有夏月だった。 蜉蝣が羽ばたき、周囲の熱を奪っていく。直後、集められた熱は光となって射出された。 対するSfは、メイドドレスを翻しながら回避、そして迎撃。 だが、Sfが迎撃の手段に用いたのは先ほどから幾度となく弾丸を放ってきた重機関銃ではなかった。 Sfが手に取ったのは、図書室内に数千数万と存在する蔵書のうちの一冊。 それに重力制御の力を込めて、弾丸のように打ち出した。 有夏月の虫が、中空を舞う本を撃ち落とした――だが、Sfの放った本は、一冊だけはない。 二冊目、三冊目、そして四冊目と、速度を増しながら次々と放たれていく。 有夏月の能力では、その速度にかなわない。 そして、いくら虫という力があろうとも、有夏月本人の身体能力は常人のそれとなんら変わりなく――故に迎えるのは、本の直撃。 「ぐっ……!」 ダメージは大きくない。いくら高速射出されているとはいえ、本とは攻撃用に作られたものではない。 命に関わるような攻撃ではない――だが、その意味は。 「――これが今の、私の全力です。ええ、痛いでしょう私の全力は。 なにせ、こちらで全力を出してしまえば――痛みを感じる暇すらなく、命まで無くしてしまうでしょうから」 重機関銃では難しかった、手加減を加えられる攻撃になっているということだ。 数千、数万という本の弾丸はいずれ有夏月の体力を削りきり、行動不能にするだろう。 命を奪うことなく無力化するというSfの目的を考えると、利にかなった攻撃手段だといえる。 だが、それはつまり、有夏月の体力が続く限り有夏月にもチャンスが残るということである。 Sfの攻撃が量だとすれば、有夏月の攻撃は質。 二号指定を受けるほどの超火力が一撃でも当たれば、それまでの多少の不利を即座に引っ繰り返すことも可能だ。 それと同時に、考えていた。相手が使う、本を弾丸にして打ち出す常識外れの能力について。 思い出す。かつて、戦っていたときのことを。 虫憑きの居場所を作るという立花利菜の夢のために、己の力を貸していたときのことを。 虫憑きは、彼らが持つ異能の力のために恐れられ、迫害されてきた。 今、相手が使っている能力――それは、虫憑きの能力だと言われてもおかしくないほど、世界の常識から外れている。 「……その力は、僕たちの力によく似ている」 ならば、 「その力を、要らないと思ったことは……あるか……!?」 「ありません」 Sfは即答した。そして、言葉を続ける。 「この力は、私が主を守るために必要不可欠なものです。 主の傍こそが、私たち自動人形の在るべき場所――主を守るこの力こそ、私たちの存在証明となるのですから」 主を守れぬ自動人形など言語道断。 主に仕える、ただそのために、Sfたち自動人形は存在しているのだから。 自動人形は力を持つからこそ、彼女たち自身の居場所を得られるのだと、Sfは主張する。 だが、Sfの言葉に有夏月は反発する。 「僕は、こんな力はいらなかった。 ――この力さえなければ、僕たちはきっと、普通の幸せを得ることが出来たはずなんだ!」 世界に“虫”がいなければ。 きっと、失われなかったはずだ。 居場所も。愛する人も。 「だけど――この力で、取り戻すことが出来るなら」 有夏月の傍で、蜉蝣が羽ばたきを得た。 「――僕は、それを望む」 放たれた光と熱は、有夏月へ向けて飛来していた書籍類を貫き、焼き尽くした。 蜉蝣は、有夏月の“夢”を糧として、成長する。 少年の抱えたあまりにも深い絶望と、一縷の希望が、破壊の力へと変わっていく。 二の矢が放たれ、Sfへと向かった。 自動人形は、得た視覚情報から有夏月の攻撃を正確に予測する。 余裕をもった回避が可能だと瞬時に判断。身を翻す。 しかし。 有夏月が放った光は、侍女服の端を掠めた。 UCAT製の防弾防刃耐熱繊維が一瞬の内に焼け、焦げ屑さえ残さず消滅する。 ――攻撃の速度が、更に速く……! 計算が狂う。内部に蓄積した情報を、更新。攻撃の速度、威力を上方修正。 いや、それではまだ足りない。三射目が飛来する。速射性、情報修正。並びに速度、威力、更なる修正。 四、五、六、七、八、九、十。 攻撃の度に情報は更新され、その全てが上方修正。 回避という結果は得られている。しかし無傷ではない。完全な回避は、難しくなっている。 そして、十一射目。 ついに、有夏月の攻撃がSfを捉えた。 「くっ……!」 腹部への直撃。ダメージを計算する。被害は――甚大。機能停止に繋がりかねない損傷だ。 ならば、とSfが次の行動の選択をしようとした、その瞬間。 有夏月の放った十二射目が、再度Sfの身体を貫いた。 もはや確認するまでもない。機能停止まで、そう時間は残されていない。 攻撃の余波で煌々と炎が立ち昇る図書室の中で、僅かな時間だけが残された自動人形が、出来ることは。 「――お逃げください、新庄様!」 視界の端に映った、新庄・運切――Sfの居場所になっていた日本UCATの、守るべき仲間へと危機を伝えることだけだった。 直後。Sfの視界は、暗転する。 「……主の傍で逝けぬとは、”在るべき婦人(ザインフラウ)”の名折れですね」 どうか、主だけは無事でいてくれと――その願いを最後に、自動人形はその全機能を停止した。 ◇ 「――Sfさん!!」 叫んだのは新庄だ。 飛場と全裸と別れたあと、新庄と鯱人は戦闘中のはずのSfを探していた。 その途中で聞こえてきた戦闘音を追って、ここまで来て――そして、間に合わなかった。 胸の中に生まれた、後悔。苦いそれを、新庄はぐっと飲み込んだ。 聞いたことがある。自動人形は人間ではないために、たとえボディが破壊されても復活の可能性が残されていると。 (だけど、そのためにはふっかつのじゅもん……じゃなくて、ええっと、SfさんがSfさんであるための魂にあたるモノがいるとか) 自動人形についての知識が貧相な新庄には、どれがそれなのか見当をつけることは難しい。 だが、彼女の魂さえ回収できれば―― (――まだ、諦めるには早いよね) だから、そのためにこの状況をどうにかしなければならない。 新庄は、炎の渦巻く部屋の中心に立つ少年を見た。 彼の瞳には、決意がある。それはきっと、この殺し合いで最後の一人になろうとする決意だ。 だけど、と、新庄は彼を否定する。 それは、彼さえも不幸にしかねない、誰も幸せにならない手段だ。 だから、止める。止めなければならない。 「塩原君。ここはボクがどうにかするから、だからキミは……」 「おいおい新庄。言ったろ? オレは新庄の夢を応援するって」 ずい、と鯱人は新庄の前に出た。 「それに……オレも、コイツとはやらなくちゃいけない理由がありそうだしね」 鯱人が視線を向けたのは、有夏月の傍に浮かぶ虫。 それに呼応するように、鯱人の傍にも、一匹の虫が現れた。 「……“虫憑き”か」 「そういうこと。ていうわけだからさ、新庄。ちょっとそこで、見ててくれない? ついでに俺の応援もしてくれたら、すっごい頑張れちゃうかも!」 軽薄と言われても仕方ない態度はそのままに、鯱人も臨戦態勢となり―― 二人の虫憑きの戦いが、始まった。 戦闘が始まった瞬間、有夏月は己の身体が何かに包まれたような感覚を得た。 有夏月はこの感覚を知っている。特殊型の虫憑きが、その力を最大限に発揮するための領域を展開したのだ。 有夏月のような分離型と比べると、特殊型の虫憑きの数は少ない。 そして分離型が戦闘に直結する能力を持つことが多いのに対して、特殊型はその名の通り特殊な能力を有している場合が多い。 そのまま戦闘に使える能力もあれば、戦闘補助、あるいは通信や情報処理など裏方に向いた能力もある。 だが、わざわざ領域を展開してきたということは、戦闘に影響を与える能力の持ち主であることは間違いないだろう。 「ひはっ」 不気味な笑いと共に、鯱人が動く。獣じみた速度と軌道で、有夏月へと突進。 手には何も持っていない。徒手空拳のまま、拳を振りかぶる。 その拳に、蜻蛉の姿をした鯱人の虫が移動した瞬間、その速度が倍増した。 「――潰れちまえよぉっ!」 回避は間に合わない。有夏月は咄嗟に防御姿勢を取った。 そして、激突。速さだけではなく、重さも伴った衝撃が有夏月の身体を芯から揺らす。 「ぐぅっ……!?」 呻きながら、有夏月は考える。この速度も打撃力も、完全に人間離れしている。 おそらくそれが、相手の使う虫の能力なのだろうと見当をつける。 ならば立ち回りに関しても、有夏月の身体能力では相手に敵わない可能性が高い。 故に狙うのは、先のSf戦と同じく火力の高さを活かした一撃必殺だ。 「陽炎!」 虫の名を叫んだ有夏月が放つのは、研ぎ澄まされた光の白刃だ。 有夏月の周囲で燃え盛る炎のエネルギーを吸収し、威力と速度は更に向上している。 攻撃の気配を察した鯱人も脅威の反射速度で回避行動を取るが、完全な回避は出来なかった。 切り裂かれた鯱人の右腕は、赤い血を流しながらぶらりと垂れ下がっている。 「……塩原君!」 二人の戦闘をただ見守るしか出来なかった新庄が、鯱人の名を呼んだ。 声音に含まれているのは、心配と、――鯱人をSfと同様に失ってしまうかもしれない、恐怖。 だがその新庄の不安を払うように、鯱人は変わらぬ軽い口調で返事をする。 「だーいじょうぶだって。言ったろ? 新庄が見てくれてるなら、オレは頑張れるって。 それに……ようやく思い出せそうなんだよね、オレが失くしてたモノが」 傷を負ってなお、鯱人は笑みを浮かべた。それを見た新庄の背に、ぞくりと冷たいものが走る。 普段の鯱人が浮かべている笑みとは、まるで違う。 「うん、段々感じてきたよ。オレが失くしてた……“痛み”を」 塩原鯱人は痛みをどこかに置いてきてしまった人間だ。 彼の身体は痛覚を感じない。虫憑きとなってしまったあの日から、ずっとだ。 だが、一度だけ痛みを思い出したことがある。 偶然遭遇した虫憑きと戦ったときのことだ。あの時鯱人は、確かに痛みを感じていた。 「やっぱり……虫憑きと戦えば……“あっち側”に行けば、オレは思い出せるんだな」 鯱人は偶然虫憑きと戦ったあの日まで、虫憑きとしての能力をずっと封印してきた。 虫は、持ち主の夢を糧にして能力を使う。 鯱人は夢を喰われるとき、世界の“こちら”から“あちら”に引っ張られるような感覚に陥っていた。 顔も知らない誰かに、肩を引っ張られているような――未知に対する言いようのない恐怖が、そこにはあった。 だから鯱人は、虫憑きとしての自分を封印し、善良な一般市民という役柄を演じてきた。 だが。 一度“痛み”を思い出してしまった鯱人は、どうしてもそれを取り戻さなければならないと思ってしまった。 虫の力を使い、向こう側に引っ張られることになってしまったとしても、必ず痛みを取り戻す。 今がそのときだ。この虫憑きは、きっと鯱人に痛みを取り戻させてくれる。 「――ひはっ」 狂戦士の笑みを浮かべ、鯱人は虫を使役する。 鯱人の虫――アキアカネは、質量を媒介とする虫だ。 アキアカネが触れることによって、触れられた物質はその質量を変化させる。 質量を無くすことで速さを、そして質量を増大させることで重さを得るのだ。 鯱人が生身でも速さと重さを兼ね備えた打撃を繰り出すことが出来たのは、アキアカネの能力の恩恵を受けていたからだ。 鯱人の再びの突撃に対して、有夏月は、 「――なら、痛みなんか感じる間もなく、死ね」 純粋な殺意だけが込められた光撃で、迎え撃つ。 しかし、 「身体が……!?」 アキアカネが、有夏月の身体に触れていた。 増大した質量が枷となり、有夏月の行動を阻害する。 今度は、防御さえ間に合わない。質量を数十倍に増大させた鯱人の拳撃が、有夏月を打ち抜いた。 「ちぇっ、そんなんじゃ全然足りないんだけどなぁ。ほらほら、早く立ってよ。 アンタに頑張ってもらわなきゃ、オレの痛みが帰ってこないんだからさぁー?」 受け身も取れずに倒れ込んだ有夏月に対して、鯱人は追撃もせずに挑発する。 鯱人にしてみれば、こんなところで虫憑きとの戦闘が終わってしまっては意味が無いのだ。 まだ“あちら側”に行くには足りない。より戦闘に没入し、感覚を研ぎ澄ましたその先に、鯱人が求める“痛み”は存在する。 「……もうやめようよ、塩原君」 制止の声を発したのは、新庄だった。 二人の虫憑きの戦いに割り込むことすら出来なかった新庄だったが、大勢は決していることくらいは分かっている。 これ以上は戦闘にはならない。ただ敗者をいたぶるだけの行為にしかならない。 「ボクは、誰の命も奪いたくないし――誰かが奪うところも、見たくないよ。 Sfさんだって、まだ間に合うかもしれない。ボクたちがやらなくちゃいけないのは――」 しかし、新庄の懸命な訴えは鯱人の言葉に遮られることになる。 「あのさぁー、新庄ってば、マジで誰も死なずにハッピーエンドを迎えられるって思ってるわけ? それってさ、ちょっとばかり――“夢”を見過ぎなんじゃない?」 「――え?」 「だってそうでしょ。オレら、こんなワケワカンないことに巻き込まれちゃってさ、きっとコイツみたいに殺る気になってるヤツもいっぱいいるよ。 なのに、誰も死なず、誰も傷つかずに全部終わるだなんて――そんなこと、ありえないっしょ? だったら現実見て諦めておくべきときもあるんじゃないの? それが今でしょ。 夢ってさ。大きければ大きいほど、壊れたときの痛みも――大きくなるんだからさ」 新庄は混乱していた。 新庄の“夢”を応援すると言ってくれた鯱人が、今度は新庄の“夢”を否定している――? 「なんで……そんなこと言うの……?」 「オレは新庄のこと応援してるからさ、新庄が傷つくところなんて見たくないんだよね。 もしダメだったら、オレが新庄の傍にいてあげるよ」 鯱人は笑っている。 笑ったまま、新庄の夢を否定し――壊そうとしている。 痛覚を失った鯱人は、無意識のうちに痛みを求めて続けていた。 虫憑きと戦い、一時的に痛みを思い出したあの日よりもずっと前からだ。 そして、彼が選んだ、痛みを思い出すための手段とは――誰かと夢を共有し、それを壊すことで、そのとき生じる痛みも共有しようというものだった。 陸上選手として将来を有望視されていた少女がいた。 少女は、自分の夢のことを応援してくれる鯱人に惹かれるようになり、やがて二人は付き合い始めた。 二人で一緒に過ごす時間は楽しく、甘美なものだった。 少女はいつの間にか夢のための努力を忘れ、鯱人との時間を優先するようになっていった。 そして、鯱人はそんな彼女を――突然、突き放した。 二人の時間は戻らない。再び夢に向かう気力すら失ってしまった少女が抱えた痛みはどれほど大きかったのか。 それでも――鯱人は、何も感じることが出来なかった。 恋仲だった少女が壊れるさまを見ても、何も痛くなかった。 似たようなことを、何度も繰り返した。それでも、いくら繰り返しても、鯱人は痛みを取り戻すことが出来なかった。 誰かの夢を壊して、終わらせて、その度に自分が何をやったのかすら忘れていたことを、ようやく思い出したのだ。 今もそうだ。新庄の心を折ろうとしているのに、戸惑っている新庄の顔を見ているのに、心に何の感情も浮かんでこない。 「――はは、だったらさ、やっぱりコイツから取り返すしかないわけじゃん?」 鯱人が求める痛みは、きっと、虫憑きとの戦いの中でしか得られない。 鯱人は新庄に背を向け、再び有夏月を見た。 有夏月は鯱人に打ち抜かれた脇腹をかばうようにしながら立ち上がっていた。 しかしその瞳から闘志は消えていない。 「そうこなくっちゃね。ほら、早くオレを“あっち側”まで連れてってくれよ」 笑う鯱人に対して有夏月は何も答えることなく、陽炎による攻撃を返した。 有夏月の夢を吸って、更なる鋭さを得た光の矢を、しかし鯱人は難なくかわしていく。 戦闘という極限状態によって研ぎ澄まされた鯱人の感覚は、一流の戦士のそれだ。 獅子堂戌子に認められ鍛え上げられた資質が、今まさに開花しようとしている。 だが、有夏月とてレジスタンス“むしばね”のエリアリーダーと特環の構成員の両方を同時にこなしていたこともある人間だ。 負けられない、という気持ちだけなら、有夏月のほうが上だ。 だから、その意志は、夢は、陽炎を通じて力になる。 有夏月は咆哮する。感情を昂ぶらせる。未来を、在るはずだった明日を掴むための力を、渇望する。 お互いに確信していた。鯱人も有夏月も、虫憑きの中でも準最強と言われる二号指定に相当するほどの力の持ち主だ。 そんな二人が全力で放つ次の一撃が、決定打となる。 負けたほうが、そのまま命を落とすことになるだろう。 “自分以外の人間が、傷付き苦しむこと”を望んだ塩原鯱人。 “戦わずに生きていられる場所”を望んだ緒方有夏月。 二人の夢が、ぶつかり合う。 ――結果的に、立っていたのは緒方有夏月のほうだった。 陽炎の放った熱線は、標的の身体を貫くことに成功したのだ。 しかし――鯱人はまだ、生きていた。その理由は―― 「新、庄……?」 倒れていたのは、塩原鯱人と、新庄・運切の二人だった。 陽炎の熱線が鯱人の身体を貫く瞬間、新庄が身を挺して鯱人を庇ったのだ。 だから鯱人は、まだ生きている。だが、新庄は、 「よかっ……た……。塩原君が、助かって」 口もとから、一筋の血が垂れていた。血が顎を伝い、下に落ちる。 落ちた先には、新庄の腹部から流れ出た血だまりが出来上がっていた。 誰が見ても分かる致命傷だ。新庄の顔から、どんどん血の気が引いていく。 しかし新庄は、そんな己の身など気にせずに、鯱人が生きていることを喜んでいる。 「なんでだ……なんでオレのために、そんなになってまで……!」 「――塩原君。ボクはね、約束をしたんだ。 いつか本当の意味で間違えてしまうかもしれない悪役のために、ボクはずっと彼の傍で、正しくあろうと、そう決めたんだよ。 これが本当に正しい行いなのかボクは分からないけど……でも、もしもボクの目の前で塩原君が死んでしまったら……それを、ボクが止められなかったら。 ボクはきっと、ボク自身を許せなかったと思うんだ。 ……一つだけ、お願いをしてもいいかな。伝えてほしいことがあるんだ」 鯱人は小さく頷いた。それを見て新庄は、安堵の表情を見せ、 「……ボクは、最後まで正しくあろうとしたよ。だから、キミも、正しく――正しく間違ってほしい。 そう伝えて欲しいんだ、佐山君に。佐山・御言――ボクの大事な人に、世界の悪役であろうとしている人に」 「――分かった」 鯱人は新庄の手を握りながら、そう返事をした。 血の気が引いた指先は、もう冷たくなり始めている。 もう一度、強く握った。しかし、新庄がそれを握り返すことは、無かった。 「……痛い、な」 いつの間にか、鯱人の胸の中に生まれていたものがあった。 それは、小さな痛みだ。今までいくつもの夢を壊してきて、それでも得られなかったものだ。 「正しく――間違ってくれ、か」 それは鯱人に向けられた言葉ではない。だが、彼の中の何かに触れる言葉でもあった。 鯱人は、自分が正しかったと思ったことは一度もない。 理性で考えれば間違ったことをしているという自覚はあった。 ただ自分の中に痛みがないばかりに、他者の痛みに対して何も思わなかっただけだ。 だが、今。鯱人の中に、小さな痛みが生まれた。 「はは、オレってば、みんなにこんなもの感じさせて生きてきたんだな」 最低な奴だなと、自分でも思う。 そんな最低な奴だから、命の恩人の頼みを無碍にするような不義理もしてしまう。 「ごめんな、新庄。俺も――正しく間違えるってやつを、やりたくなっちまった」 痛みはもう、取り戻せたから。 だからこれは、失くしたものを取り戻すための戦いじゃない。 気に入らない相手を倒すための戦いだ。 「倒すぜ、オマエを。ボコボコだ。もうそんな悪さが出来なくなるまで――な」 鯱人は、新庄の伝言を伝えるために逃げるのではなく、目の前の虫憑きを倒すことを選んだ。 アキアカネを呼び寄せる。虫が触れた瞬間、鯱人の質量はゼロとなる。 対象が軽ければ軽いほど、動かすための力は小さくて済む。 たとえ一般人の範疇を超えない脚力でも、その加速力は絶大なものとなり一瞬で最高速度へ達する。 そして激突の瞬間、質量を増大させる。速さと重さを両方兼ね備えた攻撃は、能力を使わないときのそれに比べて数百倍の威力に跳ね上がるのだ。 鯱人は、能力を使って有夏月を殴りつけた。数百倍の威力を秘めた拳が、有夏月の身体に直撃する。 しかし――有夏月の身体は、少し揺れただけ。 何のダメージも伝わっていない。 「あー、やっぱこれじゃ、足りなかったか」 そう言った鯱人の身体は――既にボロボロだった。 新庄が庇ったおかげで、命だけは取り留めた。 しかし、半身は陽炎の熱線に貫かれていたのだ。 本来ならば戦闘など到底不可能なほどの傷。 たとえ能力で威力を高めたところで、元々の威力が低ければ何の意味も持たなかった。 「――間違ってることなんか、知っているさ」 陽炎の照準を鯱人に合わせながら、有夏月が小さく呟いた。 「それでも。正しいだとか、間違っているだとか――そんなこと関係ない」 求める夢は形になっていても、己の力だけでは到底叶わない。 だったら、叶えるだけの力を、どこかに頼らなくてはならない。 「ここで君たちを終わらせてでも、僕は、手に入れる」 陽炎の二つの尾が、図書室を包む炎の力をかき集めた。 空洞になっている陽炎の胴体に、光が集まっていく。 ――放たれた光は、全てを消し去った。 【時間:1日目 早朝】 【場所:G-03】 【緒方有夏月@ムシウタ】 【持ち物:不明支給品×?、拳銃、ガトリングガン、悲嘆の怠惰@境界線上のホライゾン 水・食料四日分】 【状況:消耗】 【Sf@終わりのクロニクル】 【持ち物:無し】 【状況:死亡】 【新庄・運切@終わりのクロニクル】 【持ち物:無し】 【状況:死亡】 【塩原鯱人@ムシウタ】 【持ち物:ぬるはちっ@境界線上のホライゾン、とりかへばや物語・どきどき宮廷編@境界線上のホライゾン】 【状況:死亡】 遺された願いを拾って 投下順 遠い背中 夢測るかっこう 時系列順 [[]]
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モバイルアプリケーション開発に関する情報 モバイルアプリの開発はしなくなったけど、モバイルっぽい用語とか載せることにします。 用語集
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New Vegas ロケーションガイド/な行 五十音順。 クエストと関係ないマップポイントの紹介を主な目的としているため、関係している個所は該当クエストページを御覧下さい。 凡例ベッド…★★ 熟睡ベッドあり スキル本・雑誌…★★★ 両方あり/★★ 本のみ/★ 雑誌のみ ニールの小屋 ニプトン ニプトン通りの東ドライブ・イン ニプトン通りの西ドライブ・イン ニューベガス・スティール ニューベガス・メディカルクリニック ネバダハイウェイ・パトロールステーション ネリスアレイ ネリスハンガー ネリス空軍基地 ネルソン ノースベガスの広場 ノパー洞くつ ノバック ニールの小屋 No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 5.06 ★ 英wiki 掲載クエストページ:Crazy, Crazy, Crazy ニプトン No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 4.30 ★ ★ ★ ★★★ ★ 英wiki 掲載クエストページ:Keep Your Eyes on the Prize その他関連クエスト:Cold, Cold Heart、Booted、Wheel of Fortune、They Went That-a-Way ニプトン通りの東ドライブ・イン No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 4.29 ★ ★ 英wiki ジャッカルギャングがいる。 キャンプファイヤーからすぐ東の廃墟の壁に、「バーンドマンが歩いている!」という落書きがある。 ニプトン通りの西ドライブ・イン No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 4.22 ★★ ★ 英wiki 掲載クエストページ:My Kind of Town ニューベガス・スティール No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 2.26 ★ ★ 英wiki Mr.スティールやイカれたMr.ハンディがいる。 入った部屋にある机の上にサンセット・サルサパリラ・スターキャップ、スキル雑誌「愛国者の料理本」。 北東の使用できるターミナルがある机のそば、箱の中に騎士物語、修理の天才、プログラマ・ダイジェスト。 ターミナルでラッキー38エグゼクティブのオーバーライドを選べるが、特に何も関係ない。本来はクエスト The Moon Comes Over the Tower の一部だったが、カットされた模様。 熱い鉄に触れるとダメージ。溶鉱炉は即死する。 ここに出現するMr.スティールやイカれたMr.ハンディはリスポンする上、灰や粘液になってもリスポン時に消えてくれる。 ニューベガス・メディカルクリニック No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 2.10 ★ ★ 商人、医者 英wiki 掲載クエストページ:I Don t Hurt Anymore その他関連クエスト:Et Tumor, Brute? ネバダハイウェイ・パトロールステーション No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 4.23 ★ ★ ★★ ★ 英wiki 掲載クエストページ:My Kind of Town ネリスアレイ No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 3.03 ブーマー 英wiki 掲載クエストページ:Sunshine Boogie ネリスハンガー No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 3.02 ★ ★ ★ ★★★ ★ 商人、医者 ブーマー 英wiki 掲載クエストページ:Volare! その他関連クエスト:Ant Misbehavin 、Sunshine Boogie、Young Hearts、I Hear You Knocking、I Could Make You Care、(ミニ) Mister Cuddles、Old School Ghoul ネリス空軍基地 No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 3.01 ★ ブーマー 英wiki 掲載クエストページ:Volare! その他関連クエスト:Ant Misbehavin 、The House Always Wins、Things That Go Boom、Render Unto Caesar、Wild Card Side Bets、Still in the Dark ※FTポイントとしては、基地内部にあるネリスハンガーの方が様々な場所に近いため、そちらも参照。 ネルソン No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 6.06 ★ ★ 英wiki 掲載クエストページ:Restoring Hope その他関連クエスト:We Are Legion、Back in Your Own Backyard、I Forgot to Remember to Forget ノースベガスの広場 No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 2.07 ★ ★ ★ キャラバン 英wiki 掲載クエストページ:Someone to Watch Over Me ノパー洞くつ No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 1.19 英wiki ファイヤーゲッコーが生息。 西にスーパーミュータント・マスターの死体があり、ヌカランチャー、C4プラスチック爆弾を所持。 ノバック No. ベッド 作業台 リロードベンチ キャンプファイヤー スキル本/雑誌 スターキャップ 商人 勢力 英wiki 5.18 ★★ ★ ★ ★★ ★ 商人、医者、キャラバン ノバック 英wiki 掲載クエストページ:They Went That-a-Way その他関連クエスト:Come Fly With Me、For Auld Lang Syne、Talent Pool、I Forgot to Remember to Forget、Classic Inspiration、(ミニ) Midnight Ranch Attacks、Old School Ghoul ロケーションガイド (英字)/あ行/か行/さ行/た行/な行/は行/ま行/ら行
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モンゴル帝国をもう一度 首都 [#z3eb8e96] お隣さん [#wb4a8705] 各国の太古 [#r34c1ae2] 元寇 [#vd11d9ad] 今回の要点。 [#kb7d68bf] コメント [#lf8944fb] 首都 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Civ4ScreenShot0000.JPG) 凄く神立地です。 金融志向なら戦争しなくてもヌクれるんじゃないだろうか。 なんてことを考えていた。 因みにこの後判明するのだが、ある意味神立地。ある意味最悪の立地だった。 赤丸の一つ右に首都建設。 研究は、畜産→鉄一直線。 お隣さん 南にドイツ、東に徳川と立て続けに出会う。 そして馬に出会う。 銅鉄には出会わなかった。 お隣の徳川の都市には斧が一体居る。 何をするかは決まった。 第三都市を南の馬の場所に立てて、研究を騎乗に。 騎乗、陶器、建築学ルート、と進めて行く。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Civ4ScreenShot0029.JPG) 建ててみた都市はこんな感じ。鉄が北にあるが、使えないスクエアが多い都市を立てることになり、非常に面倒だ。 よって、今回は少なくても銅は所持している徳川に対して初期Rをかけていく。 因みに、決断するのが遅かったので若干遅めの所期Rである。 各国の太古 BC1520 奴隷制採用。領内に銅がない為、日本への初期Rを準備。馬しか居ないのでチャリ ケシクR。 生産物は、穀物庫、兵舎、ゲル、モニュメント、ケシク、チャリ。 チャリオット兵について 攻撃時のみ斧兵に対して+100%。斧兵が強さを発揮する古代・古典においてこれは大きなボーナスだろう。 槍に対してはメチャクチャ弱い。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (BC800.jpg) BC800 毛沢が王権に宣戦布告。 創始パワーによる文化圧迫が原因かと思われる。 王権は初手創始を選んでいた為、文化パワーもそれなりのもの。 元寇 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (BC500.jpg) BC500 日本に宣戦布告。 史実のように海はない。 神風も吹かなければ、台風も来ない。 竹崎季長もまだ日本には居ない。 今こそ元軍の底力見せてやる。 侵攻部隊動員兵力 チャリ ケシク 3 4 かなり少ないが、槍ばかり居る訳ではないので、これで十分。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (クリップボード011.jpg) 足りなくなっても各都市ではケシクやチャリが常に生産されている。 それに建築さえ取れば、象兵が解禁される。 象なら何が来ても圧倒的な戦闘力で粉砕してくれよう。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Civ4ScreenShot0001.JPG) BC300 中国朝鮮戦争が終結。 ピョンヤンを攻略した中国が一歩リードした形での停戦。 BC175 毛沢がヒンズーに改宗。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (AD50.jpg) AD50 日本滅亡。 圧倒的な機動のケシク。 物量に任せたチャリアタックにより、槍兵をバッサバッサとなぎ倒してあっと言う間に日本滅亡。 終わってみれば・・・ ケシクは総生産数9。損失は4。 チャリは総生産14。損失は8。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (徳川滅亡後.JPG) 優秀な生産都市がたくさん手に入った。これが後の帝国のエンジンとなる。 特に馬・銅・鉄が全ての都市にあったのがデカい。北辺の都市にはないが。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Civ4ScreenShot0030.JPG) 全域図。 海産物も、鉱物も、衛生資源も何もかも手に入った。 これ以上の拡張は不要だろう。 二手目に続く。 今回の要点。 戦略資源がなかったら速やかに攻撃の準備。銅か鉄があれば無理にする必要はない。-槍が居ても恐れるな。物量で押せばどんな敵でも倒せる。-ほんとに何もなければ弓R。先制攻撃つけて突撃すればいい。-伐採も使えばいい。川周辺は残しておいてもいずれ伐採することになる。ならば初期Rに回せばいい。-資源が先?道が先?重要度による。例えば首都で初めての労働者が生まれた時、まっさきにすることは農地を作って人口増やすこと。逆に戦略資源は道がないと使えない。ハンマー源として利用するなら地形改善を。*コメント [#lf8944fb] コメントはこちらにどうぞ。 ケシク大活躍とか初めて見たw -- ケシク何体くらい失ったのか知りたい。あとスキルは撤退か戦闘術か -- 情報を追加しました。AD50の画像の下です。 昇進は戦闘+陽動 槍が痛いので。 -- easttea チャリvs斧が象と同じって表現について、チャリの攻撃側が防御側に対するユニット種ボーナスって防御側に対する修正だったと思います。チャリ4(1+戦闘術) vs 斧5*(1+防御ボーナス-攻撃ボーナス(ここ)) -- なるほど。戦闘結果の表示などで戦闘力がかなり上がっていたので勘違いしていました。修正します。 -- easttea 死んでこいwwwさすが大魔王wwwwwwwww -- ケシクすげえええええ -- 名前 コメント
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「ユ・スヨンのブレークスルー990 語彙・熟語・コロケーション1000問ドリル」2011年8月22日 第2刷 ドリル004 問題番号031 解説のP、268で(C)within→(D)within ドリル045 問題番号356 和訳のcontractor「契約者」→「請負業者」「土建会社」 ドリル070 問題番号560 解説のP、371で(A)beyonde→beyond ドリル073 問題番号577 和訳の「ドイツ」→「オランダ」 ドリル082 問題番号653 答え A→D ドリル111 問題番号886 解説のP、431でdiscount to customers→discounts to customers ドリル117 問題番号936 解説のP、439で動詞の原形後に→動詞の原形前に
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また少し長くなります。 グランジュッテのモーションを作っていたときのこと。ジャンプの時間と高さがどうしてもうまく決まりませんでした。 うう、自然にならない…、動画をいろいろ見ても高さなんて正確にわからないし、自分の感覚と照らし合わせて…いえ、そんなのもっと無理ですって。 試行錯誤した挙句、ときどきいろいろ手伝ってくれてるうちの弟に相談。 返ってきた答えは 「計算すりゃいいじゃん」 け、計算っ!?…ど、どうやってですかっ!? いえ、放物線だとか、そういうのもちょこっとぐらいならばわかるんです。 MikuMikuDanceでどうやって?っていうことです。 (ここで「はいはい、そういうことね。」と思った人は正解です。この先は読む必要はありません…といいたいところですが、後半、ちょっと意外な方向に脱線を始めます。) それでまず、つくってくれたのが次の2つ 高さ30cm 高さ50cm 30cmの高さのジャンプ、50cmの高さのジャンプのそれぞれのモーションデータ。 中身は「センター」のデータだけ。高さなんかは考えず、まずは適当にジャンプ中の動きを作って、最後にこのモーションデータを読み込んで完成、というわけです。…ふんふん、なるほどなるほど。 「高さと、横方向の向きとか距離を変えたいときは?」「そのときにまた言って。」 あ、言ったらつくってくれるのねん? (…と簡単にとらえてたら、このあと話が二転三転します。) で、最終的にできあがるのがこれ。 [2008.5.25] 一例ですのでポーズは手抜き(踏み切り、最高点、着地、の3つだけ)ですが、いちおう正確なジャンプのはず。 もちろん、センターの位置を放物線で移動させたから、という話にはなりません。 一度にやると知恵熱が出そうなので、今日はここまで。 …さて、続きを。 上のモーションデータで実際にポーズをつけて動かしてみると、ちょっとおかしな動きになります。 いえ、おかしな動き、というよりはどちらかというと普通の動き。 あれ?っと感じてしまいました。 そもそもグランジュッテの頂上付近でなぜダンサーが両足を前後に大きく広げ、両手を上に振り上げるかご存知でしょうか? その動きが美しいから、には違いないでしょうが、じゃあなぜその動きが美しく見えるのか? 実はこれはバレエで普通に知られているテクニックで、そうすることでジャンプの軌道がただの放物線ではなく、頂上の高さで一瞬しばらく静止したような、不思議な軌道に見えるからなんです。もちろんそれが美しさの理由のすべてではないでしょうけど… (http //www.fujitv.co.jp/event/art-net/art-science/008.htmlの「錯覚が生み出すバレエのテクニック」に説明がありました。興味のある方はどうぞ読んでみてください。) 弟にとくとくと説教してダメ出し、作り直しを命じました(笑)。 で、作ってきたものをまあ見てやってください。まず、ジャンプ中ですが、ポーズの変化に合わせて、重心の位置が下のように動くというのです。赤がミクのセンターの位置、青がミクの重心の位置、です。 ※ちなみに重心は、普通のバレリーナ体型を想定して計算したとのこと。そりゃ、ミクは頭が大きいですからね(笑)、髪も重そうだし。あ、髪をおだんごにしてるのは全然関係がありません。動画を作るにあたって、ちょっと試してみただけです。 [2008.6.1] ふんふん、それでそれで? で、ようするに、重心が移動する分、それだけセンターの移動量を調整してやらないといけないとのこと。 そうやって作ったジャンプが下の動画。 [2008.6.1] 重心が放物線を描いていて、そのかわりにセンターの軌道がジャンプの頂上付近でま横方向に波打って動いているのがわかるでしょうか? それにあわせて頭の動きも、頂上からあとにさらにもういっかい上に持ち上げられるような動きをしています。 おお、えらいっ!よくやった! きっとこれが上で書いていた、目の錯覚ということなんですね。 まだ続きます。 ほんとうに自分がどこまで理解しているかわかってないことをおそるおそる書くのは結構つらい作業ですね…
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『もう一度、ここから』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 353 :試作な俺-27話 :2012/01/23(月) 15 38 08.82 ID V6rZ1LNJ0 <某国・某大型研究所> 兵士「これが、最後の資料になります」 将官ウィッチ「……構わないね?」 俺「はい」 将官ウィッチ「では、廃棄を」 兵士「了解しました」 俺「…………」 ───── 俺「すいません。無理を聞いてもらって……」 ペコッ 将官ウィッチ「いや、構わないよ。君にはあの場に立ち会う資格があったんだから」 俺「…はい。ありがとうございました」 将官ウィッチ「これでもう、君や他の試作体のような犠牲者たちが生まれることは二度と無い」 将官ウィッチ「しかしそれまでに、沢山の罪の無い人間がこの計画の犠牲となった。 ……だがどうか、 ” 今更 ” だなんて思ったりしないでくれ」 将官ウィッチ「これは間違いなく……君たちが勝ち取った結果なのだから」 354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/23(月) 15 40 00.48 ID RdUrZYwSO しえんぬ 355 :試作な俺-27話 支援感謝です:2012/01/23(月) 15 42 14.90 ID V6rZ1LNJ0 俺「俺なんて、何もしていませんよ」 俺「みんなが居たから、みんなが動いたから……俺は今こうしてここに居る。生きることが出来たんだと思います」 将官ウィッチ「そうか……いい仲間に巡り会えたな」 俺「ええ。本当にそう思いますよ」 将官ウィッチ「……さて、先ほどの話の続きをしよう。元実験部隊たちのこれからの処分の話だったな」 俺「はい」 将官ウィッチ「……まず、驚くかもしれないが聞いてくれ。あの出来事は『なかったこと』になった」 俺「え・・・?」 将官ウィッチ「恥ずかしい話だが・・・今回私たちは反乱の兆しに気がつけなかった。完全にアルタネィティブに騙されていた」 将官ウィッチ「もしも君たちが動かなければ私たちはきっとそのまま大将に騙され続け、そして彼の目論見通りに強化ウィッチが量産されていただろう」 将官ウィッチ「そして何時しか、その矛先が人間に向けられていたかもしれない。彼は多くの情報を操り我々を欺いていた。強化ウィッチについても勿論だ」 俺「…………」 将官ウィッチ「一歩間違えれば、何かが違えば反乱は起きてしまっていた。世界は壊されていたかもしれない。今回は首の皮一枚でギリギリ繋がったんだ。 だがそんなことになっていたにもかかわらず、軍上層部は騙されていた。計画自体を知っているのが上の人間だけだったとはいえ、何とも間抜けな話だろう?」 将官ウィッチ「そんなことが外部に知られれば、軍の面目はまさに丸潰れだ。そして上層部は体面を重視し、あの一連の出来事を『なかったこと』にした」 将官ウィッチ「強化ウィッチ製造計画、研究、試作体、選別、被検体……。それらの存在したことを否定し、全てを闇に葬ることにしたんだ」 356 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 15 44 44.23 ID V6rZ1LNJ0 俺「ぜ、全部なかったことにって……」 将官ウィッチ「存在否定と言っても安心してくれ。口封じで命を奪うだとか、そんな真似をするつもりはない。ただ、口外しないと約束してくれれば───」 俺「そんなことじゃありませんよ・・・!なかったことにするって、そんなの有りですか!?」 俺「それじゃあ、今まで犠牲になった奴らは・・・!」 将官ウィッチ「……そのことについては本当に申し訳ないと思っている。すまない。私にはこうすることくらいしか出来ない」 ペコッ 俺「……! やめて下さい。あなたが頭を下げたって、何にも……」 将官ウィッチ「…………」 スッ 俺「……すいません、そうですよね。ここで俺が何を言ったって、何かが変わる訳じゃない。例え軍が事実を公表したとしても、死んだ人間が生き返ったりはしない……」 俺「だけど、そんなの……簡単に割り切れないですよ……っ」 将官ウィッチ「……君はさっき私に言ったね。資料を処分開始する前に私だけに打ち明けた」 将官ウィッチ「自分がダルシム大佐の実の息子だと言うことを。そして、親の罪は子が背負うべきだろうかと」 俺「……はい」 将官ウィッチ「結論から言おう。そうする必要はない。大佐の罪を君が背負うことなんて無いんだ」 将官ウィッチ「君は君であって、彼ではない。例えそれが親子でもだ。自分は自分でしかないんだ。 ありもしない罪で人を裁くなんて、一体誰が出来ると言うんだ?」 俺「…………」 357 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 15 47 31.23 ID V6rZ1LNJ0 将官ウィッチ「君の親子関係を知っている人間はもう殆どいない。調べて分かったんだが実験部隊の初期の隊員…… つまり、君の素性を知っていた隊員の殆どは、過去の実験途中の暴走事故で死亡していた」 将官ウィッチ「恐らく現在で事実知っているのは、君自身と私。そして生き残りの研究者たちと、ストライクウィッチーズ内の数人くらいだろう」 俺「……それが、何だって言うんですか」 将官ウィッチ「つまり、君は誰かに強いられることは無い。これからは自分自身で未来を選ぶことが出来るんだ」 将官ウィッチ「そして既に私は君に伝えている。多くのことを話し、君に教えた。君は知ることが出来た」 将官ウィッチ「過去を変えることは出来ない。失われた時間は嘆いたって戻って来ない。君が犠牲者たちを想うのなら……。 これから重要なのは、全てを ” 知った上で ” 、君がこれからどうしたいのか。そういうことじゃないか?」 俺「…………」 将官ウィッチ「聞かせてもらえないか? 君がこれから先、どうしたいのかを……」 俺(俺の未来……、俺自身がこれからどうしたいのか……) 俺「俺は───」 ───── <数日後・ロマーニャ近海> ビシュゥン!ビシュゥン!! 大型ネウロイ「─────────!!」 サーニャ「っ……」 ドシュドシュドシューン ドガドガドガァァァァァン!!! 大型ネウロイ「─────!───────!!」 キュウイィィ・・・ エイラ「また再生したゾ」 シャーリー「ああもう!しつこい……!」 ズガガガガガガガガガガ!! 子機ネウロイ「」 パシューン バルクホルン「この程度の敵、今まで戦ってきた奴らに比べれば……!」 坂本「……俺、バスターライフルのチャージまでの時間は?」 俺『大丈夫だもっさん。たった今終わった!』 坂本「もっさんじゃない!……よし、各員は即座に射線上から退避! 俺は確認次第撃て!」 俺『了解!』 359 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 15 53 54.58 ID V6rZ1LNJ0 大型ネウロイ「─────────!!」 俺「装甲も再生速度も関係ない……」 俺「直撃させれば そ れ で 終 わ る」 ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォーーッ!!!! 大型ネウロイ「─────────……・・・」 バキィンッ!パシュゥーーン…… サーニャ「ネウロイの撃破を確認。増援の反応はありません」 シャーリー「ははっ、相変わらずすっげー。やったな俺っ♪」 俺「うっ・・・」 グラッ シャーリー「お、おい俺。大丈夫か?」 俺「あ……ああ、何とか、な…………」 俺(くそっ、バースト一発でこのザマか・・・。情けない) バルクホルン「俺。やはりバスターライフルを実戦に投入するのは無茶だ。一発撃つ度に毎回こんなに魔力を消耗していたら、体が持たないぞ」 俺「ああ……。悔しいけど、もうコイツは俺の手に余る代物だ。今回こそ上手く行ったが、あまり実戦で使うべきではないな……」 360 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 15 57 54.06 ID V6rZ1LNJ0 <その日の夜・基地内食堂> 俺(疲れ"た……) リーネ「お疲れ様です、俺さん」 俺「ああ……リーネもお疲れ」 宮藤「だいぶ参っているみたいだね、俺さん。やっぱり昼間の戦闘でバスターライフル使ったせい?」 俺「んあー……そうだな。アレは生身の人間が扱うモンじゃないって、撃ってみて改めて痛感したよ」 俺「やっぱり、新しい戦い方を身につけるしかないよなぁ」 リーネ「新しい戦い方?」 俺「ああ、俺はもう人間だからさ。強化ウィッチの時と比べて弱体化は避けられないし、みんなの足を引っ張らないように戦い方とか考えなくちゃって」 俺「今までは武器メインで固有魔法が補助だったけど、これからはどっちも使えるようにならなきゃなぁ」 宮藤「そういえば俺さん、先週2、3日くらい出掛けてたよね。確か……」 俺「向こうの研究所にな。データ廃棄に立ち会って、お偉い方のウィッチの人と話して来た」 俺「一部のデータはまだ捜索中みたいだけど、強化ウィッチ関連のデータは全て処分出来たから、もう俺達みたいなのは二度と生まれて来ないってさ」 リーネ「良かったぁ。じゃあ、もうこれで終わったんですね」 俺「いや……まだ終わってなんかいない」 361 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 15 59 38.52 ID V6rZ1LNJ0 リーネ「え……?まだ何か……」 坂本「我々にはまだ叩くべき敵がいる。……『インペラトール』だ」 ミーナ「本日付けで正式に、私たちがインペラトールの撃墜任務を一任することになったわ。とにかくあの機体を何とかしなきゃ」 俺「……」 コクッ シャーリー「ああ、アイツかぁ。あたしもすっかり忘れてた」 バルクホルン「能天気だぞシャーリー。奴はネウロイと同じくらい危険な相手なんだ。何とか見つけだして破壊しなければ……」 宮藤「でも、その肝心のインペラトールはどこに行っちゃったんでしょう?」 ミーナ「あの人たちの報告によれば、恐らく現在もインペラトールは暴走状態。こちらからの機能停止は不可能。直接出向いて停めるしかないわ」 ルッキーニ「(モグモグ)だけど、あれから一度もあのロボット襲って来ないよねぇ? 結構時間も経ってるのに」 サーニャ「私も何度か索敵しましたが、一度も捕捉できませんでした」 ミーナ「そう、この二週間インペラトールは発見できないままよ。目撃情報は0。そして、アレによって齎されたと思われる被害も0よ」 ペリーヌ「つまりどこかに隠れているだけだと。でも、何故ですの……?」 坂本「それは分からん。確かに奴は今のところ被害を出していない。……だが、それだけで無害な存在とは言えん。自らに敵対しよう者には容赦しないだろう」 ミーナ「もし事情を知らない船が近くを通過してしまったり、あの機体の移動コースに街があったりしたら大変なことになるわ」 坂本「何にせよ、アレを野放しにはしておけない。見つけ出して確実に破壊しなくてはな……」 362 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 16 04 25.41 ID V6rZ1LNJ0 <翌日早朝・基地近辺海岸> 俺(トゥルーデはああ言っていたけど、奴は……インペラトールはそんなレベルの相手じゃない) 俺(本調子じゃなかったとは言え、みんなが10人掛かり押されていたと聞く。並のネウロイよりもずっと危険な相手だ。それに……) 俺(あの兵器にはあの男が開発に関わっている。つまり……あのクソジジイが作ったモンだと言える) 俺(アレを仕留めなきゃ、計画が終わったとは言えない。俺も前へと進めない。その為にも───) スウゥ 俺は魔法力を解放し、使い魔を発現させる。烏の真っ黒い羽が側頭部に生えた 俺(このままじゃ駄目だ。強化ウィッチとしてのアドバンテージを失った今、俺自身も新しい戦い方を生み出さなければ……) 俺(インペラトールに勝つためにも、これからの戦いのためにも……!) グッ…… ────────── コンコン バルクホルン「起きろ俺。いつまで寝ているんだ。もう朝食の時間だぞ」 バルクホルン「……開けるぞ」 ガチャッ ガラーン・・・ バルクホルン「居ない……?(ビシュゥン!)」 バルクホルン「! 今の音は……」 363 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 16 07 06.10 ID V6rZ1LNJ0 <海岸> ビシュゥン! 俺「ハァ……ハァ……! 威力を上げて、もう一回……!」 スッ 指を開き、左手を前方やや上方に突き出す 俺(魔法力を開放……魔力変換開始) 俺(体内魔力の流れを操作、左手に集中……変換…………) ヴォン"! 俺(光球体状に具現化。続けて変換。圧縮……圧縮…………圧縮………………!) 俺(変換完了。腕先に魔法陣を展開。射線を固定。目標を確認……) 俺(発射……!) ビシュゥン!! 左手先の魔法陣から収束された青白いビームが発射され、高速で真っ直ぐ進んでいく その狙いは岸から離れた先方の海上にある、射撃訓練用の的だ 364 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 16 11 04.10 ID V6rZ1LNJ0 が・・・駄目っ・・・・・! 俺「あっ……!」 グニャァ ビームはターゲットのやや右上を通過し、目標の角を少し消滅させただけだった 俺「くそっ、ダメだ。狙いが逸れやがる……」 パタン 力が抜け、俺は浜辺に仰向けで寝転んだ 俺(これで何度目だ?くそっ……。魔力を増やすと命中率が下がる。隙もデカくなる。こんなんじゃ敵に当たる訳がない) 俺(でも減らしたら減らしたで豆鉄砲だ。命中率を殺さずに、破壊力を上げるにはどうすれば…………ああもう) 俺「つ、疲れた……。喉渇いた……」 ピタッ 俺「つめたぁっ!?」 ガバッ バルクホルン「朝早くから精が出るな、俺」 俺「トゥルーデか……びっくりした。いつから見てたんだ?」 バルクホルン「少し前からだ。それよりも喉が渇いたんだろう? 水を持ってきたぞ」 スッ 俺「あ、ありがとう……」 パシッ 俺(キンキンに冷えてやがる・・・ありがたい) 365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/23(月) 16 11 45.76 ID RzRBBapu0 支援な俺 366 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/23(月) 16 12 33.30 ID R3uWRih+O 支援 367 :試作な俺-27話 支援ありがとう:2012/01/23(月) 16 13 29.04 ID V6rZ1LNJ0 俺「(ゴクッゴクッ)プハァ……生き返った」 バルクホルン「調子はどうだ?俺」 俺「まぁまぁかな。それよりも、トゥルーデは何でここに?」 バルクホルン「先ほどお前が訓練しているのが見えたのでな。しかしアレは何なんだ? 遠目では腕から光線を放っているように見えたのだが……」 俺「ああ、簡単なことだよ」 スタッ、スッ…… 俺は立ち上がり、先ほどと同じように左手を突き出す 俺「(ヴォン"!)魔力を変換……………………圧縮して…………………………」 バルクホルン(俺の左手に、光が集まっていく……) 俺「…………シュート!!」 ビシュゥン! バルクホルン「!」 再び青白いビームが腕から放たれる。先ほどより大分細い。 今度はちゃんと的に直撃し、数秒かけて溶解。程なくして完全に蒸発させた 俺(……全ッ然ダメだな、こりゃ。実践的じゃない) バルクホルン「すごいじゃないか俺!」 パチパチ 俺「えっ、あ、そう?」 368 :試作な俺-27話:2012/01/23(月) 16 16 03.16 ID V6rZ1LNJ0 バルクホルン「ああ、驚いたぞ俺。お前そんな技が使えたんだな。知らなかった」 俺「使えたと言うか……また使えるようになったと言うか」 ポリポリ バルクホルン「……? これはお前の固有魔法である、魔力変換なのだろう?」 俺「一応ね。でもそれはあくまで補助であって、やっていること自体は初歩的な魔力の操作だよ。大したことじゃない」 俺「ただの昔やっていたことの真似事さ。こんなの全盛期に比べれば、本当カスみたいなモンだ。バスターライフルにも遠く及ばないし」 バルクホルン「そんなに卑下することないだろ。バスターライフルと比べるなんて、まずその前提がおかしい。アレは完全に規格外であって、個人と比較する対象ではない」 バルクホルン「それに、力が不完全だと言うのならば、これから欠点を補って行けばいいだけの話だ。その為に特訓していたんだろう?」 俺「……ああ、わかっているさ。勿論そのつもりだ」 バルクホルン「そうか、それなら良かった。……ところで俺。先ほどの腕からの光線は、初歩的な魔力の操作だと言ったな」 俺「言ったけど?」 バルクホルン「ならそれは、特訓すれば私たちにも出来るようになることなのか?」 俺「なるぞ。変換能力者じゃないから少し仕様が変わるけど、一応撃てるようにはなるな」 バルクホルン「おおっ、それなら私にも教えてくれないか? うまく行けば、隊全体の火力を上げる事が出来る♪」 俺「いいよ。ただし魔法は尻から出るけど」 バルクホルン「やめておくか」 217 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 17 52 34.85 ID 9301snCc0 <数日後> ビシュゥン!! 俺「駄目だ……。どうにも安定しない」 俺(これじゃバスターライフルどころか、MG42ぶっ放してた方がよっぽど効率的じゃないか) 俺(……いや、諦めてたまるか。アイツが消える直前に言っていたように、力は戻っている筈なんだ) 俺(能力のせいじゃない。問題があるとすれば、俺のやり方だ。それならいくらでも変えて行ける) スッ 俺(使ってみせるさ……。昔できていたことが、今できない筈がない!) ビシュゥンッ! ビシュゥン!ビシュゥン!ビシュゥン! 俺「…………ふぅ」 バルクホルン「俺、今日はそれくらいにしておけ」 俺「あ、トゥルーデ」 バルクホルン「もうそろそろ夕食の時間だぞ。これ以上は明日の活動に響くし、やめておいた方がいい」 俺「そうだな……、そうするか」 バルクホルン「予報では明日ネウロイが出るらしい。無理は禁物だ」 俺「大丈夫。わかっているさ」 218 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 17 54 01.88 ID 9301snCc0 <夕食後> テクテク 俺(……ん?) 「待っていたぞ、01」 「……いや、もう01ではなかったな。俺中尉」 俺「お前……意識が戻ったんだな」 研究者A「ああ、今朝早くに。今度こそくたばると思ったんだが、また死に損なっちまったようだ」 俺「……その眼は?」 研究者A「些か血を流し過ぎたみたいでな。少しばかり、物が見辛くなった」 俺「そうか……」 研究者A「おっと。こんなことを伝える為に、体引きずってまで会いに来たんじゃねぇよ。お前に話があるんだ」 俺「……何だよ?」 研究者A「だがその前に一つ聞く。お前、俺が憎いか?殺したいか」 俺「別に」 研究者A「へぇ、そりゃ一体どういう了見だ」 219 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 17 55 41.69 ID 9301snCc0 俺「色々な目に遭ったが……今更お前を殺したって虚しくなる。それだけだ。クソジジイも言いたいこと言って死んじまったし」 俺「第一、元々は俺自身の身から出た錆みたいだからな……。どうしようとも思わねぇよ」 研究者A「随分と淡泊だなオイ」 俺「ほっとけ。正直に言って、もうお前みたいなのには関わりたくないってのが俺の気持ちなんだよ」 俺「それとも何だ。まさかお前もアイツみたいなことを言うんじゃないだろうな。……いや、そんな訳ないか」 研究者A「アイツみたいなことだ?」 俺「何でもない。……それで、本題は何だ。俺としては、いつまでも長々とその顔を見ていたくはないんだけど」 研究者A「じゃあ本題に移るか。……ダルシム大佐のことだ」 俺「…………」 ピクッ 研究者A「教えてやるよ。お前が言うその、『身から出た錆』とやらの真実を」 俺「…………!」 ──────────────── 俺「い……今の話は」 研究者A「勿論、全て事実だ。今更お前に嘘を吐く必要なんざない」 220 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 17 57 30.83 ID 9301snCc0 研究者A「……何だ。またショックで記憶喪失にでもなんのか」 俺「ならねぇよ。ならねぇ、けど…………」 研究者A(ショックだったのは確かってか) 俺「……もう、自分自身でも何が何だか分からない。頭ん中がグチャグチャだ」 研究者A「俺が言いたかったのは以上だ。確かに伝えたぞ」 研究者A「真実を知ってどうしたいかは、じっくり考えるんだな」 テクテクテクテク…… 俺「…………」 俺(父親、か・・・) ─────────────── <翌朝・基地内の一室> 助手「はい、今日の分のクスリです」 スッ 俺「うん……」 パシッ 助手「……どうしたんですか? 思い詰めたような顔をしていますが」 221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 17 58 58.29 ID nArVSyoi0 支援っと 222 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 17 59 00.82 ID 9301snCc0 俺「いや、何でもない。それよりさ、研究者Aがどこにいるか知らないか? 少し話したいことがあるんだけど、部屋分からないし」 助手「え……、AさんならBさんと一緒に、今朝一番の飛行機でこの基地を発ちましたよ」 俺「……えっ?」 <移動中・航空機内> 研究者B「…………」 研究者A「『全てなかったこと』に、ね。何か都合良すぎねぇか? てっきり死刑だと思ってたんだが」 研究者B「とは言っても極刑を免れただけで、俺らが何の罪にも問われない訳では無いが。一研究者として生きて行くことを強いられるだろう」 研究者A「またまた研究漬けの日々が続くってことか……。まぁ別にいいけどな。今までと大差はない」 研究者A「死に損なっちまったからには仕方ない。また世界の為に働くとするさ。今度は咎められないようなやり方でな」 研究者B「……ああ、そうだな」 ─────────────── 俺「そうか、飛行機で向こうへ……」 助手「はい。あちらの研究機関に所属して、厳正な指導と管理のもと新たな研究に臨むようです。人材としては非常に有能で貴重らしいですから」 俺(まだ……聞いてみたいこととかあったのに) 223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 00 30.74 ID PWcl9r4g0 支援 224 :試作な俺-27話 支援多謝です:2012/01/27(金) 18 04 15.51 ID 9301snCc0 俺「……って、あれ? あんたはアイツらと行かなくていいのか?」 助手「そのことなんですけどね」 クルッ 俺「?」 助手「本日付けで正式に、第501統合戦闘航空団専属対特殊兵器技術補佐兼、俺中尉専用医療長となりました」 俺「それって……」 助手「インペラトールを撃破し、あなたの体がクスリを必要としなくなるまでは、もう少しだけここに居ると言うことです」 俺「そうなんだ」 助手「何か悩みがあったら言って下さいよ?何でも相談に乗ります。だって私は、俺だけのお医者さんなんですからっ」 俺「……あ、ああ。覚えておくよ」 俺(相談、か…………) 俺(でもこればっかりは、誰かに気安く言えることじゃない) 俺(これは……俺とあの男の問題なのだから) ──────────────────── 225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 08 05.85 ID jxsJb/2U0 支援 226 :試作な俺-27話 支援感謝です:2012/01/27(金) 18 08 23.10 ID 9301snCc0 <その日の夜・基地近辺海岸> ビシュゥン!ビシュゥン!ビシュゥン! 俺「ハァ……ハァ……!」 俺(まだまだ、もう一回……!) ビシュゥンッ! ザッ、ザッ、ザッ、ザッ………… バルクホルン「俺、今日はもう遅い。そろそろ切り上げた方がいい」 俺「……悪いなトゥルーデ、今いい所なんだ。切り上げにはまだ早い」 バルクホルン「どう見たってフラフラじゃないか。はっきり言って、その状態でまともな訓練になるとは思えない」 俺「…………」 バルクホルン「今日は出撃もあったんだ。いい加減に休まないと体を壊すぞ」 俺「それでも……俺はやらなくちゃならない」 フラッ バルクホルン「……何故だ?」 俺「こうでもしないときっかけが掴めない。何も得られねぇんだよ、普通のやり方なんかじゃ」 俺「無茶は承知だ。でも……そんな悠長なことを言ってられないんだよ」 バルクホルン「…………」 俺「トゥルーデは戻ってくれ。俺はもうしばらくやって行くからさ」 ビシュゥンッ! 227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 12 19.37 ID C0nIpimZO しえんぬ 228 :試作な俺-27話 支援ありがとう:2012/01/27(金) 18 13 20.33 ID 9301snCc0 <二時間後> 俺(流石にもう……限界…………) ドサッ 俺(結局これと言ったような成果は無し、か……) バルクホルン「よし、これで今日は終わりだな」 俺「っ……トゥルーデ? まだ居たのか。ひょっとしてあれからずっと……」 バルクホルン「一応な」 俺「そうなのか……。ごめん、何だかんだで付き合わせちゃったみたいで」 バルクホルン「何、気にすることはない。私が勝手にやったことだ」 バルクホルン「それよりも中に戻ろう。もう日付を跨ぐぞ」 俺「ああ、そうだな」 スタッ ───── バルクホルン「それじゃあ、また明日」 俺「ああ。おやすみトゥルーデ」 バルクホルン「俺、お前は…………」 俺「?」 バルクホルン「……いや、やっぱり何でもない。おやすみ、俺」 テクテクテクテク…… 俺(? 何を言いかけたんだろう) 俺「……さて、寝る、か……?」 クンクン 俺(うわ、汗臭っ……。寝る前に風呂にでも入るか。この時間なら誰も居ないだろうし) 229 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 19 36.57 ID 9301snCc0 <浴場・露天風呂> 俺「…………」 バルクホルン「…………」 バッタリ いざ俺が湯船に入ろうとすると、既にそこにはタオル一枚のバルクホルンが浸かっていた 俺「……なるほど。考えることは一緒ってわけか」 (タオル持ってて良かったー) バルクホルン「うっ、うわわわわああああああ!!」 ザパン! 俺「ごめんトゥルーデ。俺は出るよ」 スタスタ バルクホルン「!! ちょ、ちょっと待て!」 ザパッ、ガシッ! グィッ! 俺「うおぁ!?」 ツルンッ バルクホルン「え?」 俺(急に引っ張られたからバランスが……!) 俺・バルクホルン「うわああああああああああああああああ!!?」 ザッパーン! 急に腕を力強く引っ張られたことでバランスを崩し足まで滑らせた俺は、バルクホルンを巻き込んで盛大にずっこける。 幸いなことにその先は石床でなく、2人で重なるように湯船に倒れた 俺「(ブクブク)ぷはぁっ!はぁ……! だ、大丈夫かトゥルーデ……」 ふにょん 230 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 19 54.62 ID C0nIpimZO さて何がでるか 231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 19 59.92 ID 51YU39aa0 しえんしえん 232 :試作な俺-27話 支援感謝です:2012/01/27(金) 18 23 38.39 ID 9301snCc0 「ひゃっ……!」 俺(あれ、何だコレ……) ムニュムニュムニュ 「ん、あ、あっ……」 俺「あ、柔らか───って」 バルクホルン「俺ェ……!!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣・・・! 俺(あれ、何かこれデジャヴ) バルクホルン「何をするんだお前はぁーーーーーーーっ!!!!!」 バキィ!! 俺「ぐぼァ!」 ゴロゴロドサッ! バルクホルン(あっ、つい全力で……) ───── 俺「……痛い」 ヒリヒリ バルクホルン「…すまない俺、やりすぎた」 俺「はぁ……。だいたいトゥルーデのパンチは殺人級なんだからさ。もう少し手加減ってものをだなぁ」 バルクホルン「むっ……それは、お前がいきなり私のむ、胸を揉んだからだろう!」 俺「なっ……あれは不可抗力だ。第一、俺を引っ張って転ばせたのはトゥルーデだろ!」 233 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 29 32.96 ID 9301snCc0 バルクホルン「…………」 俺「…………」 俺「……はぁ、やめやめ。不毛な争いは止めようぜ。ただただ疲れるだけだし、誰も得しねぇって」 バルクホルン「……そうだな。全く持って同意だ」 俺「て言うか、何で俺達はいつの間にか、仲良く一緒に風呂入ってんだろうな」 カポーン バルクホルン「……!! わ、わあぁ!? コッチを見るな!!」 バシャバシャ! 俺「わぷっ……!あんたさっきまで平気だったくせに───や、やめろよ湯をかけるな!」 バルクホルン「うぅー……」 俺「……湯気でよく見えないから安心しろって。どっちにしろ、俺はもう出るから」 ザパァ バルクホルン「あっ、ま、待て!」 ガシッ、グィッ! 俺「うおあぁっ!?」 フラッ 先ほどと同様に、湯船から上がろうとした俺の腕をバルクホルンが突然引っ張っる。またもや転びそうになったが今度はギリギリで耐えれた 俺「な、なにするんだよトゥルーデ!同じ過ちを繰り返す所だったじゃねぇか!」 バルクホルン「あっ……す、すまない」 シュン 俺「……い、いやぁ。別にいいけども」 234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 31 31.35 ID dL56u5xh0 しえんぬ 235 :試作な俺-27話 支援感謝です:2012/01/27(金) 18 33 04.23 ID 9301snCc0 俺「それで……?何で俺が風呂から出ちゃいけないんだよ。話でもあるのか?」 俺は再び湯に浸かる。今度は外を向き、彼女に背中を向けた。バルクホルンも反対を見て、背を向けあったまま2人は話し始める。 夜遅くの野外露天風呂。静寂に包まれたその場所で、月明かりが2人を照らしていた バルクホルン「話というか、少しだけ聞きたいことがあるというかだな……」 俺「?」 バルクホルン「……いや、やはり直球で訊く」 バルクホルン「おまえ私に……いや、私たちに何か隠しごとをしているだろう」 俺「…………」 俺「へぇ。そりゃまた何でそう言った考えになったんだ」 バルクホルン「それなりの付き合いだからな。何となく、かな」 俺「…………」 バルクホルン「それで、どうなんだ」 俺「……別に。みんなに話さなくちゃいけないこと秘密にしているとか、そう言うのは何にも無いよ」 バルクホルン「そうか。じゃあ、質問を変えるぞ」 バルクホルン「俺、お前は今……何か大事なことで悩んでいないか?」 236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 33 57.28 ID PWcl9r4g0 しえん 237 :試作な俺-27話 支援ありがとう:2012/01/27(金) 18 36 57.15 ID 9301snCc0 俺「…………いや、特に何も」 バルクホルン「では、何故今日の訓練の時、あそこまで焦っていたんだ」 俺「少し熱中してただけだろ。トゥルーデは心配しすぎだよな。ホントに何でもないから」 バルクホルン「……そうか。本当に、か?」 俺「ああ、ホントだよ。特に何も───」 バルクホルン「嘘だな」 俺「え・・・いや、だからホントに───」 バルクホルン「はっきりとわかった。お前は嘘を吐いている。私には分かる」 俺「デタラメだ。何でそれで分かるって言うんだよ」 バルクホルン「それなら!(クルッ) 私の目を見て、嘘じゃないとはっきり言ってくれ!」 俺「っ…………!」 バルクホルン「どうしたこっちを見れないのか。やはり嘘なのか」 俺「トゥルーデ……」 バルクホルン「……もうやめてくれ、1人で抱えこんだりするのは。問題があるなら相談して欲しいんだ」 バルクホルン「もう……あの時のような思いは二度としたくない」 バルクホルンの記憶に新しい、1ヶ月ほど前の出来事。彼女が異変に気がついた時には、俺は重度の感覚消失に体を蝕まれていた 238 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 40 28.41 ID 9301snCc0 そしてほんのその翌日。 世界を救う礎になるという偽りの大義で死を受け入れようとした俺は、突如彼女に別れを告げて基地を去った バルクホルン「お前にも話せない事情があったのはわかっている。だけど、もう……」 切なそうな細い声で、俺の背に語りかけるバルクホルン。直接顔を見なくとも、その声で俺は彼女の思いを感じていた 俺「……話したんだよ、今日。実験部隊の研究者Aと」 バルクホルン「あの男か……?確か昨日意識を取り戻して、今朝にはここを発った……」 俺「アイツは、あのジジイと……ダルシムと、実験部隊が出来る前、いや・・・国がネウロイに壊される前からの知り合いだったんだ」 バルクホルン「! それはつまり……」 俺「ああ、アイツは知っていた。野郎のこと。母さんのこと。そして……記憶を失う以前の俺のことを」 バルクホルン「…………」 俺「色々沢山のことを話したよ。家族関係とか、過去のこととか……」 俺「それでさ、色々話を聞いてるうちに実感が湧いてきたんだ。俺がどう思っていたって、あのジジイは俺の父親……。それは、変えようのない事実だって」 バルクホルン「そのことで悩んでいたのか……?」 俺「直接的にはそうじゃないよ。でも、結構関係ある」 バルクホルン「……それは」 俺「トゥルーデは知っているか? インペラトール……あの機体の開発には、野郎が深く関わっているって」 239 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 44 29.42 ID 9301snCc0 バルクホルン「ああ、話には聞いている」 バルクホルン(インペラトール。実験部隊によって作られた、高機動強襲用無人人型航空兵器。非公式的にはウォーロックのカスタム機……) 俺「そして俺はあいつの息子だ。だから……!」 俺「インペラトールは、絶対に俺の手で仕留めなくちゃならない!それが奴との俺のけじめ。俺がやらなくちゃならないことだ」 バルクホルン「…………」 俺「だから……迷ってた。これは俺の戦いだ。あまりみんなを巻き込みたくはない。だけどそれじゃ、俺はまた……!」 ゴツン 俺「いてっ!?」 バルクホルン「少し落ち着け」 俺「す……すまん」 バルクホルン「・・・お前の言いたいことはわかった。私たちに対する配慮もな。そこで1つ提案だ」 俺「提案?」 バルクホルン「私もお前に協力する。それならいいだろう」 俺「えっ……」 バルクホルン「あの時に言っただろう。もうお前は独りではないと」 バルクホルン「忘れるな、俺。お前の戦いは、もう私の戦いでもあるのだから 240 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 47 39.21 ID 9301snCc0 俺「トゥルーデ……」 バルクホルン「同じ舞台に上がるんだろう? それは、私も同じなんだからなっ」 俺「……ははっ、そうだな。そうだった。あーあ、やっぱりあんたには敵わねぇや」 俺「わかった。インペラトールは、俺とあんたの2人で倒す。それでいいか」 バルクホルン「ああ!」 俺「よしっ、決定だ。これはもう絶対だから、あとでキャンセルとか無しだかんな?」 バルクホルン「わかっている。やってやるさ」 俺「OKだ。……あ、一応言っておくけど、何もいきなり俺1人でインペラトールに突撃しようだとか、そんな物騒なことは考えてなかったからな? 悩みって言ってもどうしようか少し考えていただけで───」 ムギュッ・・・ 俺「っ! トゥッ、トゥルーデぇ!?」 突如バルクホルンが、俺の背中に抱きついてきた。俺は驚き振り向きそうになる バルクホルン「ふ、振り向くな!そのままそっちを向いていろぉ!///」 俺「あっ、ごめん。……って、それなら何で抱きついたんだよ」 バルクホルン「それはその…………い、勢いで」 俺「勢いかい」 241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 49 01.50 ID rqABdZJC0 寒い…… 支援…… 寒い…… 壁…… 242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 18 51 47.63 ID C0nIpimZO 寒い時期になってから壁を殴らせるとかあんたは鬼か(褒め言葉) 支援 243 :試作な俺-27話 支援感謝です:2012/01/27(金) 18 52 45.39 ID 9301snCc0 バルクホルン「ぜ、絶対に振り向くなよ。カールスラント軍人の誇りにかけて振り向くな。恥ずかしいのだから……!」 タプッ 俺「あ、ああ。わかってるって」 バルクホルン(こうしていると、不思議と落ち着くな……) 俺(……当たってるんだよなぁ、何かが背中に。本人気がついていないみたいだけど) 薄布一枚の状態で密着されている為、刺激がほぼダイレクトで背中に伝わっていた バルクホルンの胸「」プルンッ 俺(……いかんいかん心を沈めろ。落ち着くんだ俺。俺っていうか……もう1人の俺) バルクホルン「お前も言っていたけどな、私だって守られっぱなしは好きじゃないんだ。後ろで指を咥えてみているだけなんてのは嫌だ」 バルクホルン「私が立ちたいのは、お前の後ろではない。お前の……隣がいい」 俺「ははっ、なんかそれ……口説き文句みたいだな」 バルクホルン「なっ……い、言うな!何だか恥ずかしくなってくるじゃないか……!///」 俺「……あ、そうだ。最後に聞きたかったんだけどさ」 バルクホルン「な、何だ?」 俺「何でトゥルーデは、俺が嘘を吐いているってわかったんだ?それが気になって」 バルクホルン「ああ。それは……」 俺「それは?」 244 :試作な俺-27話:2012/01/27(金) 18 58 13.47 ID 9301snCc0 バルクホルン「それは……!」 俺「そ、それは……」 ゴクッ バルクホルン「内緒だ」 俺「」 ガクッ 俺「なーんだ、教えてくれないのかよ……」 バルクホルン「教えてしまったらつまらないだろう。だから俺には内緒だ」 俺「くっそぉ~知りたかったなー」 バルクホルン「ふふっ……」 バルクホルン(やっぱり無自覚だったんだな、俺……) バルクホルン(実はお前には、嘘をついている……もしくは、本心からの言葉じゃない時に、「本当」という言葉を「ホント」と発音してしまう癖があるんだ) バルクホルン(これは恐らくお前自身も気がついていない、私だけの小さな秘密……) バルクホルン(私だけが知っている、お前の秘密だ) フフッ 背中に抱きついたまま俺から見えないように、バルクホルンは小さく微笑むのだった ────────── 245 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/01/27(金) 19 00 53.97 ID 0oSZzVjL0 支援でおじゃる